青春の群像(第2部)19 叔母さんの家を出て車に乗り込み、まずはアパートに向かったのです、美樹が今日は家に泊まってくださいと言うと、ええ、お世話になりますと言うので、真一が叔母さ


青春の群像(第2部)19


叔母さんの家を出て車に乗り込み、まずはアパートに向かったのです、美樹が今日は家に泊まってくださいと言うと、ええ、お世話になりますと言うので、真一が叔母さんには、ああ言わ、

ないと機嫌を損ねるといけないので、アパートに泊ると言ったんだよと言うと、そうだよね、親戚の家を断って他人の家に泊まるわけにはいかないよねと言うと、お袋が、私はあのお姉、

さんが苦手なのよと笑ったのです、


真一が親父もそう言っていたなというと、お父さんは弟でしょう、私は弟の嫁にあたるので疎開していた時はあれこれ指図されてまいった経験があるの、お母さんは優しい人だったけど、

お姉さんは長女なので厳しい小姑だったのよと言ったのです、そうか、戦後もず~と田舎にいたら俺はさぞかし怠け者と怒られていたことだろうと言うと、お父さんも色々言われて、

いつも逃げていたわと笑ったのです、


程なくアパートに着き、部屋に入り荷物をほどくと、美樹が部屋の掃除はやっておいたわと言うので、まず、フトンを押入れにいれて、生活道具を台所に並べたのです、後は座卓とレビを、

買えばいいなと言うと、お袋がお茶でもいれましょうと、コンロでお湯を沸かしてお茶を入れたのです、部屋を眺めながら真一1人ならちょうどいい広さだねと言って、たまにはちゃんと、

掃除をするんですよというと、


美樹が私がちゃんとチェックしますから安心してくださいと言ったのです、一服して美樹の家に向かったのです、家に着くと美樹のお母さんが出迎え、よくお越しくださいました、まずは、

こちらにと居間に通すので、お袋がいつも真一がお世話になっています、つまらないものですが、とお土産を渡すと、お世話になっているのわ私達のほうですよとイスを勧めたのです、


お土産のカツオの塩辛をみて懐かしい、主人が喜びますと受け取ったのです、奥様も元気そうでなによりですとお袋が言うと、なんとか東京の生活にもなれましたと言って、今日はここに、

お泊りくださいと言うので、お世話になりますと頭を下げたのです、お爺ちゃんとお婆ちゃんが現れたので、真一が紹介すると、いつもお世話になっていますとお袋が言うと、真一君には、

孫の美樹が助けいただいて感謝しているんですよ、


ごゆっくりして行ってくださいと言うと部屋を出ていったのです、美樹が部屋に案内しますと言うので、真一が僕と一緒の部屋でいいよと言うと、うんと言って部屋に案内したのです、部屋、

に入ると、それではまだ時間があるので東京見物でもしましょうと美樹が言うので、お袋行きたいところはと聞くと、そうね、皇居に行ってみたいわと言うので、部屋を出て美樹のお母さん、

に夕方には帰りますと言って出かけたのです、


車に乗り皇居にに向かい、二重橋の前の公園に行きここがテレビに出てくる場所だよと言うと、綺麗なところね、あの奥に天王陛下がいるのねと頭を下げたのです、真一が後は浅草にでも、

行こうと車に乗り浅草に向かったのです、浅草寺の仲見世を通りお寺にお参りして、御守りを二つ買い、真一と美樹に渡したのです、随分賑やかなところね、一休みしましょうと餡蜜屋に、

入り餡蜜を頼んだのです、


東京はビルばっかりかと思ったら、意外とみどりが多いのねと言うので、京都よりもお寺の数は多いんだよと真一が言うと、それはそうでしょう、京都の何倍も広いんですからと笑ったの、

です、この餡蜜も美味しいと喜んでいたのです、美樹ちゃんの体の具合はとお袋が聞くと、美樹がすっかり良くなったんですよと言うので、それは、良かったわ、でも無理してはいけま、

せんよと言うと、


ハイと返事をするので、真一しつかりサポートするんですよ、くれぐれも美樹ちゃんに無理をさけてはいけませんよと言うので、了解と返事して、鎌倉見物にもつれて行くよと真一が言う、

と、お鶴様の墓に線香を手向けましょうといったのです、美樹がこれから銀座に案内しますと言うので車に乗り込んだのです、お袋が車の窓から外を見て大きな街ですね、歩くとまいごに、

なりそうと笑ったのです、


真一が東京は本当に始めてなのと聞くと、お父さんには言っていないけど、戦前に一度父に連れられて来た事があるのと言うので、そうなんだと言うと、まだ実家が裕福な時代でお見合い、

につれてこられたのよと言うので、その人とは上手くいかなかったのと聞くと、父の知り合いの軍人さんからのお話で、見合いの場所が赤坂のホテルだったのよ、二人で庭を散歩している、

時にその人が、


この話を断って欲しいと切り出すので、わけを聞くとすでに言い交わした人がいるが、上司の話なので断るわけにいかず見合いを承知したそうなの、私はまだお嫁に行くつもりがなかった、

ので承知したのよ、それで田舎に帰って父に断ってくれるように言うと、わけを聞くので軍人は嫌いだと言ったら、父がそうか、もうじき戦争が始まるようだから、お前を後家さんにする、

訳にはいかんなと断ってくれたのよと言ったのです、


そうか、その人とお袋が結婚していれば僕は生まれてこないわけかと言うと、そうだね、でもおとうさんとお見合いし結婚して、弘子が生まれて直ぐに召集令状がきたのよ、軍人でなくて、

もあの戦争から逃れる事はできなかったのよ、おまえのお父さんは次男なのにお兄さんが家を出た為に後をついだのよ、その頃は村上家も私の実家と同じで地主をやっており大勢の小作人、

がいたの、


お父さんは昭和17年に兵役解除にになり家に戻ってきたのよ、もう嬉しくて喜ぶと、戦況が悪くなるともう一度召集を受ける事になるだろうといっていわ、そして昭和19年の12月に再び、

召集を受け熊本の師団に入営したのよ、それで新兵を訓練してよく昭和20年に沖縄に行く事になったそうだけど、ことごとく輸送船が撃沈されて兵員を沖縄に送る事が出来なくなり、

鹿児島の鹿屋に行かされたのだそうなの、


沖縄に米軍が上陸して日本軍は殲滅されて、後は本土上陸だけとなり九州の上陸が予想される志布志に配属されて、暫くすると終戦になり生き残ったのよ、休暇で城田に帰って来たときに、

どうも沖縄に行くみたいだから、生きては帰れないかもしれない、子供たちを頼むと言って帰ったので、沖縄に行ったとばかり思っていたの、沖縄陥落を聞いて戦死したのだとばかり思、

っていたのよ、


暫く経つても戦死公報は届かなかったので、どこかで生きているのだと毎日言い聞かせていたの、8月15日に終戦になり、日本が負けたと聞いてみんなびっくりしたんだよ、ラジオでは日本、

が勝つていると言う放送しかしていなかったので、だれも信じる人はいなかったのよ、10月になりひょっこり家に帰って来たので、嬉しくて涙が止まらなかったわと当時の話をしたのです、


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