マジ卍
「つーかさー」
「んあー?」
「最近面白いことなくね?」
「それな」
「毎日がへーボンすぎるっつーか」
「つまんねーよなー」
「マジでそれなぁー……」
「アタシら小心者に出来ることといったら、こうして学校サボってマックでダラダラ過ごすことくらいだもんなー」
「マジでだりぃ」
「……」
「梨花さー? 今日元気なくない?」
「どーしたん? ほりゃ、ポテト喰うか?」
「……」
「……ポテト好きの梨花が全く釣れないんですけど」
「えーーー! 梨花マジ落ちしてじゃん! どうしたの!?」
「私の元気をポテトで測るのやめろ」
「……玲奈、由紀、今から話すこと、秘密にしといてくれる?」
「え」
「ちょ、ちょちょちょどうしたんいきなり」
「私さ、アンタらのことガチ友だと思ってんだよね」
「と、突然の告白?」
「照れんじゃんちょっと」
「だから、今から話すこと、全部秘密にしといてほしーの」
「水くせーな! アタシらが口かてえの知ってんだろ?」
「なんか悩みあんならウチらにゆーてみー? サクッと解決してやんよ! あとポテト喰うか?」
「二人とも、ありがと」
「え? ところで秘密ってなに? 恋バナ? 恋バナとか恋バナ?」
「誰!? 相手だれ!? イケメン!? クラスどこ!?」
「ちょっと、トイレ来て」
「は? 連れション?」
「友情をさらに深める連れション?」
「違う、ちーがーうー!! いいから来て!!」
「痛いって!! 腕折れるって!! 引っ張んないでよ!!」
「すげえ腕力だな!!ゴリラかよ!! 梨花ゴリラゴリラゴリラ!!」
「学術名で呼ぶな!!」
「え」
「は」
「なにこれ」
「……」
「え、やばたん」
「うわ、えっ」
「……ドン引きやめれ、普通に傷つくわ……」
「え、どゆこと?」
「……昨日はえてきた」
「……」
「……」
「卍型の胸毛」
「……」
「……」
「ごめん、撮っていい?」
「インスタ映えする胸毛じゃん」
「お前ら、本当に殴るからな? 殴るからな!?今すぐ!?」
「つか、秘密ってこれ?」
「うん」
「え、剃ればよくない?」
「剃っても速攻で生えてくる」
「怖っ!!」
「怖っ!!」
「もう水着着れないし、お嫁にもいけないんですけど……」
「えっ、いや、つらー……」
「なんで昨日今日でこんな立派な卍型の胸毛はえんの? お父さんの育毛剤でも胸にサラサラふりかけたの?」
「知らないよ!! あとウチのパパハゲてないよ!! ……あ!あとさ」
「うん」
「なに?」
「変な夢観た」
「夢?」
「どんな?」
「なんていうの? 仏像? みたいなのが話しかけてきて」
「うん」
「うんうん」
「もうすぐ世界が暗雲で覆われる、とか」
「うん」
「うんうん」
「そなたに世界を照らす陽光の印を与える、とかなんか、そんな難しいこと言われた」
「……」
「……」
「……」
「なにそれ?」
「わかんない」
「んー、まぁ、とりあえず」
「とりあえず?」
「これからドンキの脱毛コーナー見に行く?」
「行く!!!!」
「剃ってダメなら抜いてみろっしょ!!」
「絶対誰にも言わないでね!!」
「言わない」
「言わないって」
「インスタにもあげないで!!」
「あげない」
「我慢する」
卍【まんじ】
サンスクリットではスバスティカsvastikaといい,もとビシュヌ神の胸の旋毛に起源し,瑞兆の相。卍字,万字とも書く。ヒンドゥー教や仏教では陽光の象徴。また仏教では仏心を表す。
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