第5話 ステータスまで数値化とはまるでゲームだな
アルベール邸の庭。
そこにはやる気満々で顔を輝かせる父と、さっきまでキレていた癖に涼しい顔をしているアンリ、そしてそのアンリの爆弾発言の連続で憂鬱になっている俺がいた。
なにが悲しくて妹に監視されなければならないのか。
「よし、二人とも揃ったな。さっそく剣と魔法の訓練....と行きたいところだが、その前に大切な事をしなければならない」
珍しい。父なら手順無視して剣を振ってきそうなものなのに。
準備運動か何かでもするのだろうか。
そう考えている事がバレたのか、俺の事をちらっと馬鹿にした風に見るアンリ。
おいおい....。俺が転生前の記憶が戻ったことに気づいてから少し態度悪くないか?
前はもっと普通の妹みたいに接してきてたのに....。
アンリはその大切なことが何なのか分かっているようで、それを父に確認した。
「大切なこと....ステータスの確認ですよね。私たちの身体能力や魔法適正が何なのか分からないと、訓練の方針を立てられませんもんね」
父は「そうだ」と頷く。
「ステータスがわかれば、どこを伸ばし、何を克服すればいいのかが分かる。
特に魔力適正はそれが大きく影響がでるからな。
例えば俺だったら......」
そういい、剣を握り辺りを見渡す。
「あの木は邪魔だな....あれでいいか。見ておけよ。これが魔法だ」
庭に生えている不格好な小さな木を見つけると、何か呟き出した。
「【抑えられし力よ、今一度その束縛から放たれよ】」
「【我が得物に強靭の加護を】」
すると、父の身体から微かな光が漏れでて....その木も幹を剣が突き刺さるッ!!
「むぅ、やはり今の俺の力じゃ切り倒すことも出来んか」
いやいやいや。人の力で木をそこまでえぐる人初めて見たぞ。
小さな木と言っても人の腕力じゃ無理だろうし、剣も持たないだろう。
これが魔法....。
「今使ったのが身体能力を上げる《
父はもう一度剣を振り、ちゃんと木を切り倒して来る。
「俺のステータスは....まぁ筋力に少々偏っていてな。そこに魔法適正が強化系と来たもんで、二十年前はバリバリのパワーファイターをしていた」
そう話し、驚く俺たちにそれぞれ一枚のカードと小さな針を手渡す。
アンリはこのカードを知っているようだ。
学年に一人いるなんでも知っている優等生見たいだな。
「これは、
「そうだ。それには個人の
レベルと基本情報の五つは父の話によると
レベル
何かしらの経験つむことで経験値を獲得する。
経験値の獲得量は難しい事を成し遂げるほど多い。
生物を狩ることで、その生物の経験値を一部奪うことが出来る。
筋力
数値が高いほど力が強くなる。
これは筋肉の量は関係なく、細い者でも数値が高ければ力強い。
頑丈
数値が高ければ身体が丈夫になる。
これは病気に対する免疫も含まれており、高ければ高いほど健康。
多少高いだけでは物理的な攻撃に対する防御力はないが、これが人並みを超えると刃を通さない皮膚を持つ、なんてことになるそうだ。
精神
数値が高いほど精神力が高くなる。
これは、一般人が高くてもあまり意味は無いが、数値が高ければ魔力の扱いが上手くなる。
精神に干渉する魔法に対する抵抗力も兼ね備えている。
敏捷
数値が高いほど素早く、身軽に動けるようになる。
これが高いほど足が早く、高く飛べ、アクロバティックな動きが出来る。
頑丈と同じく多少高いだけではさほど差は出ない。が、人並みを超えると目で追えない速さでトリッキーな動きが出来る。
魔力
数値が高いほど所持魔力量が増える。
戦闘職にも一般人にも必須となる。
少しでも多い方がいい。
という事らしい。
初期の平均が約五。
騎士達の平均の数値は約三十。
ステータスの数値はレベルの上昇とともに上がっていくらしい。
上がっていく比率は個人によって変わるが、初期で最も高かったものが上昇しやすいそうだ。
ちなみに人気ランキングは
魔力、筋力、精神、俊敏、頑丈の順らしい。
魔力は多くて損は無い。
筋力は戦闘でも日常でも便利。
精神は魔法の効果が上がる。
この上位三つはこんな理由。
敏捷は人並みを超えれば力強いけど、少しでは差が出ない。
頑丈は人並みを超えれば力強いけど、敏捷同様少しでは差が出にくい。加え、敏捷のほうが攻撃自体を交わす方が安全。
この下位二つはこんな理由だそうだ。
続いて魔法適正の説明が始まるがもう知っているからいい。
ちなみに人気ランキングは
放出系、強化系、付与系、干渉系の順だそうだ。
やっぱり皆派手な魔法に憧れるんだな。
まぁ要するにだ。
俺の望みは筋力が高く、人並みに魔力、精神の数値が高いバランスの取れた形になる、そして強化系をとってパワーファイターになるという事だ。
「だいたいの説明は終わったな。それじゃあステータスを確認するぞ」
父からパーソナルカードの扱い方を教わる。
カードと一緒に渡された針で指先を少し刺し、流れてきた血をカードに塗る。
するとカードが僅かに発光しだし、その光が文字を象っていく。
発光が終わると、そこには文字が並んでいた。
どうやら終わったようだ。
ここに書かれているのが俺のステータスか?
確認しようと俺が書かれた内容を読もうとすると、
隣で驚きの声が上がった。
「あ、アンリッ。なんだこのステータスは。アンリ....お前は魔導師の申し子か!?」
アンリのカードを見た父が取り乱していた。
「ど、どうしたの父さんッ」
父は俺にカード渡した。
そこには.....
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