第19話水槽、劇薬、樹海、2018.05.20
樹木が海のようだから樹海。
人は人海。
多くいても、どこか違っている。
じゃあ、僕達は?
あの時見た、たくさんの同じ顔。今もあの水槽の中で生きている。
生きてる?
……違う。
社会の劇薬と呼ばれ、人の命を奪い、廃棄される僕達。
だから僕達は、引き金を引くこの瞬間だけを生きてるんだろう。
***
水槽に、劇薬に、樹海ですか。
夜勤明けで一眠りする前に見たので、起きた時には水槽と劇薬をからめたイメージが出来上がってました。でも、夢を見たわけじゃないんですよね。
ただ、起きた時に思いついたのは水槽というよりも、培養槽。まあ、一種の水槽みたいなものかなと……。
で、魚型人間。顔が魚です。
いやいや、却下。何となく、却下。
じゃあ、体が魚。
ムリ。どうやってつなげろと?
大体、樹海に入れないじゃん。水世界限定になる。
手足つける?
手足の付いた、魚ボディの顔人間。水槽に魚のえさをやる。
うん。まあ、無くもない。でも、いまいち樹海にピンとこない。
そもそも樹海って海が付いてるから、ななぐさの発想が魚になってる。
ここは発想の転換で……。
木、木、林!
木、木、木リン。
ちがう。森。
よし、危うく違うイメージになるとこだった。樹海と言えば自殺かぁ。相変わらず死のイメージに固定されてるなぁ。でも、樹海という樹木の海は、色んな木があって、たくさんの木が海のように広がっているというイメージは、海を見たことのない人が名付けたんじゃなくて、海辺で育った人が海のない世界を見てつけたんだろうな。
自分の知っている世界を、知らない世界に投影するわけだ。
じゃあ、人海って? 人海戦術は多くの人をつぎ込むやり方。あれって、人を物みたいに見てるってことかな?
うん、たぶんそうだよね。でも、田舎からでてきて、都会の人を見た時は人海と言わずに人ごみっていう。あれって、ム〇カ大佐から出たわけじゃないけど、人海だ!とは言わない。
人は別と言う事か? 人間じゃないものが見たら人海って言っていいのかもしれない。
うーん。魚人間が離れないぞ……。
いや。
そもそもお題は、樹海だった! 危ない、危ない。魚人間の餌食になるところだった。
培養槽は採用。じゃあそこで育てられているのは、魚人間以外の何か。
培養と言えば、継体培養。クローン……。!?
人により生み出されたヒトと言うのはいいかもしれない。
うん。樹海と絡めて、その培養槽を偶然見た個体。自分の意義と役割を遂行するには?
劇薬!
社会秩序を維持するために作られたクローン人間。その役割は主に超法規的措置を担う。多くの人がいる中での狙撃。
人ならざるものを認識している個体が、その群衆の中で狙撃を行う。その中で偶然目にした培養槽群。自らの存在意義に疑問を感じ始めたくらいがちょうどいいかな。
そんな感じで作ってみましたが、140字の壁は厚く、そして冷たかった。
でも、『手足の付いた、魚ボディの顔人間』はどこかの物語で登場させよう。
ななぐさ的に、ボディは五月なので鯉。顔は縄文人系で濃い。
はっ!? 鱗が邪魔で、体毛が濃くない……。
企画倒れとなりました。
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