悪魔と鬼

 記憶と思い出の違いについて森先生を始めとして数々が語られている。試験に悩まされている者にとっては、覚えるべきもの/覚えているものかもしれない。役人にとっては、達成すべき課題/達成された課題かもしれない。どう線引きするのかは主観的にも客観的にも色々あると思うが。

 未来や現在にかかわるものであれば、あれこれと考える余裕を楽しめる。だが過去についてだったらどうだろう?忘れたかどうかで分かれる、いや忘れられたかどうかで分かれると思う。忘却の刷毛で優しく愛撫して忘れさせてくれればだが。

 では悪魔と鬼の違いはなんだろう?鬼はなるもの悪魔はばれるもの。

「正体をあらわしたなこの悪魔め!」悪魔は生まれつき。そうであったことがばれるものだ。隠そうとする意思のあるなしに思いは揺れる。本人が思っているのか他人が思っているのかでさらに千々に乱れる。

 鬼はなるもの。へんげの瞬間がある。子供を大事にしていたからこそ失った悲しみから形相が変わり鬼になる。忘却の刷毛を我々は持ち得ているのか?講師をやっていたので受験の鬼になれと言っていた。悪魔ではない。「~さんの火入れの技術は一朝一夕には真似できない。身についた技術だ。製鉄の鬼」

 暗記数学?記憶しただけで鬼になれるか。数学は思い出にせよ、思い出数学。

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