忘却のかなた

双子素数

　１とその数でしか割りきれない自然数を素数といいます。５は１，５でしか割りきれないので素数です。７も１，７でしか割りきれないので素数です。

　５以上の素数は６の倍数の前後にあります。５は６の前、７は６の後です。６×２の12の前後も11、13で素数ですね。不思議ですね。

　不思議ですねと書いたが、拙著「センター数学満点のコツ」で第一のコツは「Do！やってみる」だ。素数が6の倍数の前後にあると知り、覚えるだけで数学の恵を味わわない残念な人をなくしたいという動機が込められている。やってみましたか？

　素数か、まずやってみるか。1とその数でしか割れない？1、…？。1でもあるし、その数でもあるじゃん！ゴトッ、ほらあなたの時計の針が動き出した。定義を１とその数でしか割りきれない「約数を2個持つ」自然数に変えてみましょう。

2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,…

「ん？2,3は6の倍数0(＝6×0)の前後じゃないじゃん！2つ後と3つ後」

「5以上の素数って書いてあるよ」

「4以下の素数は除いた？」

「2,3が4以下の素数だよ」

「5以上の素数って4以下の素数2,3の倍数を除いたの？」

「2,3の公倍数は6の倍数だね」

6の倍数　6の倍数+1　6の倍数+2　6の倍数+3　6の倍数+4　6の倍数+5　

「まず2の倍数を消す」

×6の倍数　6の倍数+1　×6の倍数+2　6の倍数+3　×6の倍数+4　6の倍数+5　

「3の倍数も消す」

×6の倍数　6の倍数+1　×6の倍数+2　×6の倍数+3　×6の倍数+4　6の倍数+5　

「残ったのは6の倍数+1と6の倍数+5だね。6の倍数の前と6の倍数+6の前だね」

「25は6の倍数24の後でも2，3の倍数じゃないから残る。でも次の5の倍数だから消さなきゃだね」

どんどん進んでいくでしょ。止まらない。やってみれば確かに始まる。終末時計はよく言われるが、はじまりの歌は滅多に聞かれない。時計はわれわれとともに。