仮想
仮想通貨についての混乱が起きている。野口悠紀雄先生によればブロックチェーンは性悪説に基づいているので安心安全だそうだ。なのに混乱が起きているのだから、どこかにつけいる隙があるはずだ。それは他ならない仮想通貨を使う人間の方である。流通、保管が安全であっても人通りの多いネット上に置いておけば危険なのは当たり前だ。通貨に問題があるわけでない。通貨を運ぶ現金輸送車が襲われたようなものだ。襲ってくださいと放置していたのだから危険に決まってる。「なんでそんなとこにおくのか?」が正しい反応で、「仮想通貨はおそろしい」は誤った反応だ。
人間はおそろしい。おそれるのは襲う人間の方なのに安全な仮想通貨の方を疑うのだから。O.ヘンリーは銀行の出納係だった。当時の銀行の帳簿処理はずさんで、批判されるべきはそちらの方で、出納係ではないだろう。だが彼は横領で逮捕されたのである。結果としてすばらしい作家を産むわけであるが。彼の作風はシニカルな味わいだ。有名な最後の一葉は、あの葉が落ちたら私の命は尽きるのねと心配する若き女性ジョンズィは助かり、その一葉が落ちないように寒空で葉を描き続けた画家のベアマンおじいさんは命を落とした。
仮想通貨の一方でリアル通貨を扱う財務省の文書書き換えも問題になっている。野口先生はここでもブロックチェーンを導入すべきだと主張している。誰がどう改竄したかブロックチェーンなら追いかけられる。恐るべき鎖のつながり。ブロックされているけど。盗まれた仮想通貨もいつどこで引きだされたのか、かなりのところまで追い詰められている。さすが性悪節に基づいている。悪者を洗い出せる。
これじゃよいことばかりでシニカルなとこないじゃないか?大丈夫です。仮想通貨のマイニング(採掘)にかかる電気の使用量は世界159カ国を上まわる。アイルランドの使用量をも超えてしまう。あなおそろしや、性悪説。人を信用できないとエコじゃない?じゃあ信義に基づく社会を築きますか?。人類が滅んだとしてもコンピュータがせっせと採掘しつづける薔薇色の未来。さすが野口先生、超整理術。
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