棲み家暮れの魔法使い

EP.04 - 1

「特質性のためか、他校に行っても決して自分のためにも他人のためにもなれないよ」


 ぼくの名は種側(たねがわ)史郎(しろう)。中等部の卒業から半年前、相談してくれた先生に進路のことで呼び出しを受けたのだ。


 ぼくが希望していたのはタツガワ高校。公立だ。親の要望もあって、この高校を中学校に入る前から決まっていた。定めだ。


 先生はなにを不満に思ったのだろうか、ぼくが進むべき道はここではないと念を押しにわざわざ休日に時間を空け、自宅へと招いたのだ。


「特質性…はぁ…」


 ぼくの間抜けたような声に先生は消極的だなと思われた。表情が曇ったようにも見えたからだ。


「前々から相談受けていたけど…きっと、ここなら受け止めてくれるはずだよ。私が言うんだ、ここならきっと史郎くんの悩みもきっと解決できるはずだ」


 先生が押した場所は、同じ悩みを抱える特質性の人たちが通うセイモン学園。魔法使いや呪い士が通うとされている名門中の名門だそうだ。


 先生が推薦してくれたこともあって、多少の質問攻めと身体検査を受けただけで簡単に入学できた。先生に押されるまま、来てしまったが、はたしてよかったのだろうかと今にでも思えてしまう。


 魔法使いが暮らす宿【棲み家暮れ】。3人の先輩と同じ特質性の友達とセイモン学園の魔法使いたちの物語の紐が解かれた。

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