EP.01 - 2

「スキル発動!! 【武器創造(クリエイトカタナ)】!」


 俺は我愛羅に吹き飛ばされまる半日寝ていた。気づいたころにはモンスターの餌食になるところだった。俺は間一髪でモンスターのえさ場から逃げ出し、俺はどこかの森にたどり着いていた。


「あれが…モンスターか…」


 一見、犬のようにも見えたが、あれは明らかに俺が知る動物でもモンスターでもない。彼らは俺が餌だと運ばれた先で、人間の骨が束ねてあったのを目撃していたからだ。


 俺はそれと犬の今にも噛みつく光景から逃げ出したに違いない。走って逃げてきたとしても、あの巨体だ。大人ほどのサイズの犬がもし俺を追っていたとしたら逃げることはできない。


 俺は考えた。生き残る術とやらを発揮するために。ゲームの知識だけではダメだ。サバイバルとしての知識もなければ生きることさえ困難だ。


 少し考えている最中、犬の遠吠えが逃げてきた先から聞こえてきた。彼らはきっと俺を喰おうと仲間を呼んだに違いない。


 俺は走って逃げだすが、彼らの息遣いが次第に近づいてくるのがはっきりと聞こえる。俺はもうだめだと思ったとき、老人のことを思い出していた。


「スキル」


 あの老人が俺に渡してくれたもののことを。


 俺は立ち止り、スキルを念じた。生きるためにスキルは最大で3つまでしか得ることができない。生きる過程で得るとしたら、まずは戦うための力が必要不可欠だ。


 俺は生き残る術として戦う技術として、スキルにこう念じた。


「この世界にない武器を創造する。誰からも疎まれ、誰にでも作ることは不可能な武器。最強で最恐。代償として、創った後、数か月は再度使用できないこと」


 と、俺は代償も踏まえてそう念じ口にした。


 どんなに強いスキルでも代償なしで使ってはチートすぎるし無双すぎる。それに、それだとスキルは1つで十分になってしまう。


 俺は、代償を糧にスキル1つ分として、俺はこのスキルをこう呼ぶことにした。


「スキル発動!! 【武器創造】!」


 手のひらを空に伸ばし、武器を生み出す体制をした。もし、この場を凌げる武器ができたのなら、俺は老人に感謝をする。そして、この世界で生き残るべく、このスキルのことを大事にしたい。


 手のひらの先に水のような液状化が地中から吸い上げるかのように手のひらへと集まっていく。水のようで触れれば波をうつ水のような。冷たくもあって暖かくもある不思議な液体。


 少しずつ形に定まっていく。それが剣だと分かった時には、すでに形が形成されていた。


「名は――そうだ。剣魔(けんま)―いかぐち」


 【風来の旅人】における最初のシリーズに登場する液状化の武器の名称である。自由自在に形状を変え、プレイヤーが選択した武器へと形状を変える不思議な武器。威力も高く周囲に攻撃できるが半面、防具装備は一切装備できないという弱点を持つ。


 それと類似していた。


「これが…俺のスキル。そして、俺の最初の武器!」


 最初で生まれた武器にして、俺が求めていた武器そのものだ。


 俺は感動のあまり大声を上げた。


 その声に聞こえたのか、犬のようなモンスターたちが一斉に飛び出してきた。


「ガウッ!!」


 狼のような犬。この世界では動物のこともモンスターと例えているようだ。昔、飼っていた柴犬と少し似ている。どうやら野犬のようだ。ここまで狂暴化しているのは初めてだが、人を餌にしか思っていないようだ。


「うふふふ」


 俺は鮮やかに笑った。


 スキルで手にした武器を速攻で味わうチャンスだ。飼い犬と似ているがこの世界では別物。痛くもかゆくもない。武器を振るったとき、どう反応するのかどういう効果が発揮するのか楽しみで仕方がない。


 俺は剣を振るった。


 水のようにばらけ、散乱する。


 モンスターは数体退ける。突然の水しぶきに驚いた様子だ。もっと驚いたのは俺だ。ただ、水をばらまいただけだからだ。俺はこれだけの性能なのかと驚愕する一方で、特に技名もイメージも考えていなかった俺は、この先、どう武器に尋ねればいいのか困惑する。


 ゲームだと選択肢だったから、口することも読むこともなかった。


 俺はとりあえず「大鎌にチェンジだ」と口にした。すると、剣は悟ったのか聞いてくれたのか大鎌へと姿かたちを変える。


 地面へ振り払った水を吸収し、元の形状に戻った後、大鎌へと姿を変えたのだ。俺は力強くそれを振った。モンスターたちは襲い掛かることもせず退けるだけ、はっきりと間合いを取っている様子だ。


 俺はこの武器の使い方をよく知らない。やっぱりゲームのようにうまくいかないかとガックリしていると【いかぐち】は喋ったように聞こえた。


(吸収と呼べ)


 と。俺は信じられないと思いつつ、「吸収」と口にした。


 その途端、モンスターたちは苦しみだした。口から泡を吹き、目や鼻、耳から流血する。バタバタと倒れる中、モンスターの血を【いかぐち】のように液状化し平たく散乱しては吸収していく。モンスターがしおれていく光景は正直、見たくもない光景だったが、危機を去ったのもこの剣のおかげだ。


 俺はミイラ化していくモンスターたちをただ見つめた後、すべて食らいついた剣【いかぐち】は満足げにモンスターの血で作った鞘を作り出し、その鞘の中へとすっぽりと包まれた。


 俺の腰に自分から移動した。


 俺は不気味と恐怖でこの剣の使い勝手は難しいと悟るが、この剣のおかげで俺は生きられたことに感謝する。俺は数か月間、【いかぐち】以外の創造武器は作れないが、どうにかしてやっていけそうだ。


 そういえば、老人が旅人と話していた。俺も旅人という職業を得て、実際に旅をしてみようかと想像に胸を膨らませながら、村がある場所を探して森を彷徨った。

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