私…殺されるの?
ずーっと窓の外を見ている
ずーっと無言
目を合わせたら危険
私の本能がそう語りかける
窓の外を見ながらふっと気がつく
さっき通った道…
林道をぐるぐる回ってる
何を考えてるんだろう
私を殺す場所探してるのかな?
私…殺されるのかな?
吐きそうになってきた
胃がぎゅーっとわしづかみされたように痛い
口の中に一滴の水分もない
舌までカラカラになる
お願い神様助けて
お願い父助けて
お願いおじいちゃんおばぁちゃん助けて
お願い車止まらないで
もう祈る事しか出来ない
もし万が一襲いかかってきたら
多分首を絞められるだろうな
そしたら意識がなくなるまで渾身の力をこめて引っ掻いてやる
どうせ死ぬならこの爪で思い切り肉をえぐってやろう
まるで他人事のように考えを巡らす
恐怖で気が狂いそう
その時見たことのない風景が広がる
少し広めの道になり舗装された道路になった
その数十メートル先に家が見える
◯◯邸に着く!!
もうすぐ車が止まる!!
早く逃げなくちゃ
逃げなくちゃ
逃げなくちゃ
でもどうやって?
今私の回りにある紐類をすべて無くしたい
無駄な抵抗だけど
あっ!そうだ!
ポケットの中にキーケースがある
事務所のドアの鍵は丈夫でかなり大きい
いざとなったらこれで顔や目を突っつける
武器にはなるかも
でも…私に人間の目を鍵で突っくなんてこと出来るのか?想像しただけで寒けが
でも殺らなくちゃ殺られる!!
やらなくちゃ!
私はポケットに手を入れキーケースを掴む
その時
「何してるの?」
ずーっと無言だった鏑木部長がこっちを向いた
びく!!
思わず横を向いてしまい
鏑木部長と目が合ってしまった
笑みのない冷たい目
背筋に汗がつつーっと落ちる
「いやあの…印鑑…か会社の社判ポケットにじかに入れて来ちゃったんで無くしたら大変だと思って確認してたんです…大丈夫はい…ち…ちゃんとありました」
印鑑をつまんで出し見せた
手が小刻みに震えている
ごまかすために印鑑を振って見せた
「ふぅん…」
鏑木部長が
前を向いた瞬間印鑑をポケットに戻しキーケースを出して巾着袋の下に手を入れて握りしめた!
音がするのが怖くて鍵はまだ出せない
そうしてる内に
◯◯邸の門が見えてきた
ここが…私の死に場所になるのか?
そうだ
交渉しよう
お金は全てあげます
だから逃がして
鏑木部長の事は絶対に言いません
神に誓って言いません!
私は銀行から歩いて帰るって言って
鏑木部長の車に乗らないで去りました
その途中知らない人に拉致されました
って言います
だからどうかお金だけ持っていって下さい
…こんな小芝居で通じるのか…
考えながら
巾着袋の下で握りしめたキーケースを
お腹にきつーく押し当ててその上から巾着袋をぐっーと押し当て音が聞こえないように
ボタンを外し数本ある鍵の中から一番大きな鍵を3本の指できつくきつく握りしめた
とりあえず武器は持った!
世界一小さくて頼りない武器だけど
無いよりはまし!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます