第79話 創世神

「ほう」


ふざけないと良いが・・・


「創世神め・・・奴とは、決着がついたことがないのです・・・」


怒りを露わに、ストラスが唸る。

まあ、お前悪魔の長だもんな。

衝突する機会多いのかな。


「創世神は、ストラス様と互角の力を持っているのです」


そっと、レヴィアタンが耳打ちする。

声を潜める必要も無いと思うが。


「創世神のヒントですが・・・雷を操ります」


「ふむ」


「旦那も会った事が有ります」


「・・・ん?」


「アテナに関係が有ります」


「・・・分かった」


ゼウス様じゃないか。

なるほど、ハーレム推奨も頷ける。


「それで、ゼウス様は何処に居ますか?」


エイプリルが尋ねると、ストラスが答える。


「私の方からヒントを出させて貰います」


「ほう」


何だかんだ言って、ストラスには時々助けられるな。


「『2つの星交わる所山河在りて、永久の約束この地を縛す。エーテルルーナ、エルルーナ』です」


ここの扉開ける呪文だな。

俺が適当に作った奴じゃねーか。


「待って!その言葉、聞いた事が有る!・・・ごめん、直ぐには思い出せない」


ジリアンが叫ぶ。

いや、ついさっき聞いたばかりなのに忘れるなよ。


「ほら、3日前に酒場で」


ストラスがジリアンにヒント(偽)を出している。

何か、さっきの情報まで信頼出来なくなって来るんだけど。


「此処を開ける呪文と同じですね・・・その地形を探せば・・・?」


リパーが呟く。


「こちらをどうぞ」


ルシファーが地球儀っぽい道具を差し出す。

大体の地形を確認後、指で指し示す事で地形がぼんやりと拡大して映せる・・・そういう魔導具のようだ。

・・・準備が良い、という事は、何か裏がある気がするのは、疑い過ぎだろうか。

こう、誘導されている感じが。


リパーがくるくる地球儀を回し、探している。

ジリアンもそれに参加し・・・


「これだね」


自信満々に指し示した場所は、2つの巨大な岩が衝突したようになっていて、河が流れる山が有る。

永久の約束と書かれた帯が、岩を縛っている。

多分、わざわざ地形を作ったのだろう。

俺がいい加減に呪文作り過ぎたせいで、超不自然になっているな。


「これが地図になります。まずはこの村を経由して・・・」


ベヒモスがリパーの前に地図を広げ、説明を始める。


何というか・・・


ジリアンが、


「今の状況では手詰まりだし、とりあえずゼウス様に会いに行くしかないね」


と宣言する。

エイプリルは頭を振って、


「現段階でも、ある程度推測は出来たわ?」


続けようとしたエイプリルを、


「エイプリル、待ちなさい」


アルテミスが慌てて止める。


「エイプリル殿・・・その・・・私にそっと耳打ちで教えて貰えるかな?」


オーディンが言う。

早抜けクイズじゃないんだぞ。


「心を読んでるでしょうし、私の考えが正しいという事ですね?」


エイプリルが微笑んで言う。

笑顔のエイプリル、やっぱり可愛いなあ。


「エイプリルさん、望みは何ですか?」


アテナが尋ねる。


「そうですね・・・こうしませんか?3日の期限、または、ディーンが真相に辿り着くまで、私は手を出さない。勿論、真相を教えたり、助言もしない」


「それで?」


アテナが続きを促す。


「ディーンが真相に辿り着くか、3日の期限が過ぎれば、二度とこんな事をしない、という条件でどうでしょうか?」


エイプリルが微笑んで言う。


「概ね、その条件を飲みます。ですが、3日をやり過ごされては困りますね?」


アテナが言うと、


「それでは、このような条件を飲んで下されば、ディーンは3日間積極的に関わると約束しましょう」


エイプリルが微笑みながら続ける。

条件の部分は、口に出していない。


「その条件を飲みます。ただし、ディーンが真相に辿り着いた時だけです」


アテナが宣言。

エイプリルが頷いて、契約が成立した。


「アテナ、それはっ」


オーディンが制止しようとするが、


「そもそも、私は今回の件は反対なんです。それにエイプリルさんが真相に辿り着いた時点で私達は負けているのですよ?続けたいのなら、我々も骨を折る必要が有ります」


アテナが言い放つ。


「分かったわ・・・悪魔め」


アルテミスがしぶしぶ頷く。

ストラス達?


そろそろ良いのかな?


「ほーほー、では早速行きましょうか」


ストラスが促す。

エイプリルは座ったまま、手を振る。


ジリアンとリパーが立ち上がる。


「行こう!」


ジリアンが宣言する。

もう始めて良いのかな?


「そうだな・・・とりあえず、これが創世神な」


俺が掴んだのは、ストラスの首。

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