第68話 一つ屋根の下

リパーとジリアンは、ずっとついてきている。

リパーは基本潜伏している為、気配は分からないのだが、時々集中が乱れるらしく、気配を感じ取れる。


「気付かれてないと思ってるのかしら?」


「それにしても、何でついてきているんだろう?」


「誰かが仕組んだとか、かしら?」


考えられるのは神々の悪戯・・・後は・・・


「ねえ、ストラス、何か知らないかしら?」


「ほーほー、まったく知りませんね」


「で、ストラス、どうやって誘い出したんだ?」


「それはもう、旦那と姐御がついに一線を越える事を決め、準備がてらデートするという話を流してですね」


「死線を越えてみる?」


エイプリルがみょーんとストラスの羽を伸ばす。


「や、私は今羽を伸ばす訳にはいかないのです。あのおとぼけ神共と一緒にしないで頂きたい」


そう言えば・・・


「神様達、ある程度仕事に余裕が出来たんだろうか?どんどん此処を訪れる神様が増えている気がするんだけど」


「実は、天界でちょっとした事件が有りましてね・・・その影響で・・・」


「ほう?」


悪魔の侵入やストラスの過去移動のせいでどたばたして、その結果仕事が滞って仕事がなくなった神がいるとか・・・?


「天界に悪魔の侵入するという許せない事件があったじゃないですか」


ストラスが憤慨して言う。

お前とお前の部下な?


「そのどたばたに紛れて、神々の仕事が勝手に片付けられるという痛ましい事件が有りまして」


ごめんなさい。


「しかもご丁寧に、犯行声明の代わりか・・・今まで数日~数ヶ月かかっていた作業が一瞬で終わるようなアーティファクト・・・あ、マクロって言うんですけどね、説明書と一緒にそれを置いていったものだから・・・」


ああ・・・。


「今天界では深刻な仕事不足なのです。天界を追い出される最高神が後を絶たなくて・・・」


「そ・・・そうか・・・」


「忙しいのはクロノスとウラノスくらいですね」


特にクロノスか。


「二柱とも、かなり犯人像に近づきつつあるようです」


「そうか、短い付き合いだったな、ストラス」


「犯人がアスモデウスという事までは特定出来たようですが、今は証拠固めをしているそうです」


「何故そこにいった」


「アスモデウスが過去移動できない事と、アスモデウスには天界の結界を抜けられない事、天界侵入は複数の反応があった事・・・これらがネックになっているようですが」


「逆にアスモデウスを疑う根拠が知りたいところだな」


「必ず証拠を見つけると、2馬鹿、失礼、2柱は頑張っているようです」


「自首しても良いぞ?」


可哀想に。


「で、あの二人はこっち来ないのかな?」


「旦那と姐御がキスでもすればこっち来るんじゃないで・・・痛い、痛いですって」


エイプリルが羽みょーんを強化する。


「こちらから行ってもいいけど、大人しく帰りましょうか」


「そうだなあ」


二人(と1匹)でアジトに戻る。

入ろうとすると、


「待って下さい」


リパーがずいっと出てくる。

おや?


「どうした?」


今頃?


「ディーンさん・・・エイプリルさんを何処に連れて行くつもりですか!」


「私は自室に戻るわ?」


エイプリルが言う。

買った衣類、異空間にずっと入れておく訳ではない。

自室に置く必要がある。

神々にお土産渡すのが先だが、勿論それは言わない。


「・・・エイプリルさん、ディーンさんのクランのアジトに住んでいるんですか?」


「ええ。付き合っているもの。一緒に住んでるわ?」


「なら、私とジリアンも一緒に住みます!」


駄目に決まっているだろう。

いつアジト本体見られるか分からないし、他の神々を目撃されると面倒だ。


********************


2018/05/09

神様々→神様達

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