第67話 買い物

今日はエイプリルと街に出掛けている。

後ろからは、リパーとジリアンがこっそり付いてきている。

ちなみに、リパーの気配は完璧に消せているのだが、ジリアンの気配が感じられるので、多分一緒にいるだろう。

リパーは単独行動はしないと思う。


「ディーン、あれどうかしら?」


エイプリルが指し示す先・・・可愛い小物を売っている店と・・・綺麗なだけで特に魔法効果がなさそうな指輪が売っている店と・・・真ん中にある可愛い服や・・・そこに混じっているあれは・・・


「ほう、あれは魔法が織り込んである服だな」


「ええ、本人の魔力で効果強化出来るタイプ・・・あれなら軽鎧の下にも着れるし良いんじゃない?」


「確かに。あれはサイズ的には俺用になるかな」


「私は直接攻撃を受けるポジションでは無いし、ディーンの防具優先で良いわ」


「・・・まあ、もう一つあるか聞いてみるか」


店主が効果に気付いていなければ、安く買える可能性がある。

特に特殊効果がなさそうな服に混ぜて売ってるしな。


「すみません、お姉さん」


店主に話しかける。


「あら、いらっしゃい。隣の子は彼女?」


店主がエイプリルを見て言う。


「はい、そうなんです。俺には勿体ない娘で」


とりあえず肯定しておく。


「こんにちは」


エイプリルが微笑んで挨拶する。


「可愛い彼女さんにプレゼントはどう?」


「そうですね・・・この服気に入ったのですが、2着有りませんか?俺の分と、彼女の分で」


「それなら丁度在庫があるわ。待ってて」


店の奥から同じデザイン、少し小さいサイズを持ってくる。

やった。


会計を済ませ、エイプリルに小さい方を渡す。

エイプリルがお金を渡そうとするのを手で止め、


「このくらいなら良いよ」


「ん、有り難う。大事に着るわ」


エイプリルは悪戯っぽく顔を覗き込むと、


「ペアルックね」


そう言って笑う。

確かに。


「エイプリルとペアルックだと思うと、普段以上に頑張れるよ」


照れ隠しに言っておく。

くすっ、とエイプリルが笑う。


「後は軽盾と軽兜、マントだっけ?」


エイプリルが尋ねる。


「エイプリルはサークレットやアミュレット、マントにグローブ・・・だっけ」


「それと、お茶菓子欲しいそうよ。箱庭特産っぽい奴を」


「・・・何故か地球産のお菓子とかは揃っているんだよなあ・・・地球、特に日本の扱いが分からん」


「元々、箱庭に連れてくるターゲットとして優れた人が多かったから注目されていたのだけど・・・ゲームの件以降、文化とかにも興味が持たれているようね。本来は別の神が担当をしていたのだけど、日本だけはアマテラス様預かりになったそうよ」


「何その局地的支配」


「本来最高神は、世界管理なんてしないらしいけど、まさかの国管理。元々日本はアマテラス様信仰があったから、相性が良かったらしいわ」


そんな調子で、少しずつ買い揃える。

武具が一般の店に売っている場合は、関係ない物を適当に選んで誤魔化す。

別にお金は余っているので、本来の価値分払っても良いのだが・・・上手く買い物する、という行為を楽しみたい、というのが有るのだ。


途中、昼はお洒落な飲食店で食べた。

軽い外観とは裏腹に、本格的な料理を出す穴場だ。

エイプリルは食べ歩きが趣味らしく、エイプリルのお勧めで決めた。

確かに美味しかった。


緑色の細長い飴をでろーんと伸ばしながら、


「お土産ってこれで良かったのかな?」


エイプリルに尋ねる。


「まあ串焼き肉とかも買ったし、とりあえず良いんじゃない?」


飴もエイプリルに渡すと、エイプリルが異空間にしまう。


「で、あの二人はいつ出てくるんだ?」

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