それは仕様です

第51話 召喚成功

「改善案、ですか?」


アテナに聞き返す。


「ええ、冒険者達が刺激を求めているが、上手い案は無いか、と天界に助けを求めてきて」


アテナが溜息をつく。

その辺りは自分達で何とかして欲しい、といったところだろう。

遊戯場も増えて、それなりに娯楽は増えたはずだけど。

ちなみに、リパー連れて行ったら無双して、ストラス経由で出入り禁止の懇願が来た。


前から気になっていた事を提案してみるか。


「フィールドに強い魔物を追加。魔物から素材をはげる、もしくは素材ドロップ。インスタンスダンジョンの追加。クエスト専用フィールド。とかはどうでしょうか?」


「・・・たくさん有りますね。説明して頂けますか?」


「主に、ゲームであった内容なのですが・・・無論、世界観との整合性を取る必要はありますが・・・」


順に説明していく。


「まず、ある一定以上の強さの敵が地下ダンジョンにしかいないのは飽きます。森林や滝、砂漠に海、草原・・・そういった場所でも狩りができると楽しいと思います」


「確かに・・・ランク2からは、地下ダンジョンくらいですね、レベル上げは」


ストラスがそっとお茶を差し出す。

礼を言って飲む。

・・・もともとは俺が家事をしていたのだが、ストラスが来てからはすっかりストラスが行うようになった。

ちゃっかり執事の服を着て、それがまた似合っている。

もちろん、仕事ぶりも俺より優れている。


「魔物を倒すと魔石になるだけ・・・これだとつまらないです。もっと、武具の材料を入手出来るとか、肉を食べたら美味しいとか・・・それでこそ、狩りの楽しみができます」


ハンターライフ。


「インスタンスダンジョンは・・・現状、人を避けたい場合、正規ルート外に出る必要が有りますが・・・危険です。もっと気軽に、PT専用のダンジョンが出来れば、楽です。また、規定数の宝箱設置、ボス、仕掛け、ダンジョン最奥の宝箱・・・といった物も可能になります」


一般の来訪者が混乱するだろうけど。


「クエスト専用フィールドは、何かを集めるとか、何かを守るとか・・・そういったものですね。専用のアイテムが出現したり、専用のイベントが起きたり・・・」


「なるほど・・・分かるような、分からないような・・・面白いアイデアだとは思うのですが」


いや、アテナ、俺の頭の中覗いてるんじゃ。

一応イメージとかしながら言ったけど・・・イメージとかまでは見れないのかな。


「実際にやってみてはどうでしょうか?」


ストラスが提案する。


「イメージ通り作ってみるって事か?」


「いえ、ゲームを召喚して、みんなでプレイしませんか?」


「なるほど、では、召喚を頼めるか?」


「はい、お任せ下さい。こおおおおおる!」


ストラスの姿が消え、ややあって、現れる。

その横には、薄型テレビ(80型有機EL)と、ゲーム機が4台、ソフトが4つ。

・・・召喚・・・?

何故ストラスまで消えたのか。


「召喚成功です」


ストラスがにこやかに言う。


はらり


何か落ちる・・・レシート?


「買ってきた・・・のか?」


「や・・・そんな目で見ないで下さいよ。買ってくるのも一苦労だったんですよ・・・クロノスに追いかけられて・・・まったく」


「クロノス様は、空間移動や物品移動を取り締まる役目なのかな」


「いえ、私が時間移動で昨日に行ってきたので、それでですね。時間移動って禁止されてるんですよ」


なるほど・・・でも、


「時間移動・・・何故・・・?」


絶版になってたとかならまだ分かるが、それにしても昨日とは・・・

ふと、レシートに目が行く。

本日ポイント2倍、の文字が目に入る。


「・・・まさか、ポイント・・・」


「や・・・ポイントを舐めちゃ駄目ですよ。ポイント大事!1ポイントを笑う者は、1ポイントに泣くんですよ!」


ストラスが熱心に主張する。

・・・まあ、大きな買い物だし、確かに2倍なら・・・


「今日買ったら、1.9倍しかつかなかったんです」


「0.1倍しか変わらないじゃないか!」


思わず叫ぶ。


「いや、ポイント大事ですよ。クロノスに追いかけられた価値は有りました・・・ちなみに、見つけたのに逃がしたので、クロノスは天界会議で立場が悪くなる可能性が有ります。せっかく連続3ヶ月違反者0だったのに・・・可哀想に。まあ、最高神の連中にさえバレなければ何とかなりますけどね!」


横にアテナ居るがな。

0.1ポイントの為に・・・悪魔の所業だ。

悪魔だけど。

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