第49話 誓約

「そこの怪しい奴、止まれ」


悪魔の集団が出てくる。

三日月の弓を構え、


ヒュッ


ドサドサッ


状態異常:封印、を付与されてその場で消える悪魔達。

1日経てば解除される。

これは、使いやすい。


ガサッ


木陰から、悪魔が出てくる・・・ストラスか。

とりあえず封印を。


「お待ち下さい。少し話をさせて下さい」


・・・問答無用で封印したいが、後の事もある。

仕方が無い。

話を聞こう。


「我は神意に従うのみ。道を空けよ」


低い声で警告する。


「おや・・・その声・・・何処かで会いましたか?」


ほーほー、と首を傾げる。

だから嫌なんだ・・・


誤魔化し、を実行する。

その成功率は100%だ。

乗り切れる。


「我がこの地に降り立ったのは、先刻である。別の地にて会った事があるかは覚えておらぬ」


「ほーほーう。こう・・・この世界で、少し前に会ったような・・・」


おい、失敗したぞ。

何でだよ。


〈ストラスのスキル、一握の奇跡ラストミラクルの効果ですね。相手の成功率を1%下げます〉


1%を引き当てるんじゃねえ。


じゃあ、月夜の庭園を行使。

俺の正体は忘却する。

法則を改変する。


「そう・・・確か・・・魔石碑の・・・」


・・・効いてない?!


〈ストラスの特性、深林の図書館グリーンライブラリのせいですね。一度得た情報は異次元に保存してしまうので、忘却してもすぐに情報を引き出してしまうのです〉


詰んでるじゃないか!


「そう思い出しました。あり得ない精度で魔石碑を破壊していた」


・・・仕方がない。


ひゅっ


ぷす


「ふ・・・ははははっ・・・くははははははは」


状態異常:笑い、になって笑い転げるストラス。

楽しそうだなあ。


「我と其方は初対面である」


俺が厳かに告げると、


「ひぃっ・・・くははは・・・これは・・・神威?!・・・くはっ・・・」


楽しそうに笑うストラス。

泣いて喜んでいる。


「初対面である」


「そうですよ・・・くはっ・・・当然じゃないですかっ・・・私と旦那は初対面・・・っです・・・っ」


心の底から楽しそうに笑いながら頷くストラス。


・・・さて、とりあえず言質はとったものの、どうしたものか。

やはりこのまま楽しそうにさせておくのが。


「ひっ・・・誓いますっ、我が存在の全てにかけて、誓います。何も申しません・・・だからっ・・・この・・・笑いを・・・解除っ・・・して・・・くはははっ」


パチン


指を鳴らすと、ストラスの笑いが収まる。

涙目で、ぜーはー、息をつくストラス。


さて、放置して先に進むか。


「ま、待って下さい、旦那」


「どうした?やはり滅びるまで楽しんですごしたいのか?」


「笑いはもう勘弁です・・・いや、ね。旦那に付いて行って良いですかね?アスモデウスからはもう離反しますよ」


何故。


「いやー、アスモデウスの奴に協力していたのは、それが面白そうだったからなんです。旦那と一緒に行けば、もっと面白いと確信しました。是非私をお供に連れて行って下さい」


「それで後ろから刺すつもりかね?」


「いやいや、そんな事しませんて。何なら、貴方に誓約を捧げますよ」


ボウッ


ストラスから出た光が、俺に取り込まれる。

・・・何だこれ?


「誓約、神魔が対象に対して絶対の忠誠を誓う事ですよ。これを捧げた相手の命令には絶対服従ですし、利益に反する事は出来ません」


「・・・いや・・・そこまでしてもらう必要は・・・まて、さっきの光は何だ」


「誓約ですね」


ちょ。

何同意とかなしに大きな事やってるの?!

・・・そう大きな存在ではないのだろうけど・・・それでも人間には余る存在。

神威の力で今下駄履いてるだけなんだが・・・

まあ、後で解除すれば良いか。


「・・・分かった、付いてくるがいい」

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