第34話 求婚

「どうぞ」


俺がコトリ、と、エイプリルの前にお茶を置く。

ここはうちのクランのアジト。

功績値とお金が貯まったので、少し大きくて綺麗な建物に引越済・・・クランメンバーは相変わらず一人だけど。


多くの部屋や広い部屋は、アテナが友神を招くのに使っているようだ・・・前、仕事持ち出して部下集めて何か修羅場ってたけど。

有給はどうした。


「有難う・・・私、場違いじゃないかしら?」


エイプリルが呻く。


アテナ、オーディン、トール、アルテミス、俺、エイプリル。

それがここにいる全てだ。


「エイプリルさん、貴方がもたらした物ですし、貴方にも聞いて貰います」


オーディンが口を開く。


「しかしだな、ネイムレスよ。エイプリル殿は全てを知らないはず。まずはオーディン殿にだけ」


何故俺。


「オーディン様、やはり私は外しましょうか?」


エイプリルが尋ねると、


「うむ・・・我々の正体を明かす訳にはいかないでな・・・待て、今何と言った?」


「・・・?私は外しましょうか、と」


「その前だ」


エイプリルは少し考えると、


「場違いじゃないですか、と」


「それじゃなく!」


エイプリルは更に考え・・・


「YESNO枕は要らない、と申し上げましたわ?」


「どういう脈絡でそれが出たのかね!」


オーディンが叫ぶ。


ちなみに、アテナがエイプリルが来た時に泊まる部屋もある、と紹介した時だ。

ふかふかのベッドに、何故かYESNO枕が乗っていた。


「エイプリルさんは、断片的な情報から、私達に辿り着いたみたいよ。アテナのエイプリルさん推しも分かる気がするわ」


アルテミスが言う。

推し?


「断片的な情報?」


オーディンが首を傾げる。


「アテナ様は、ご自身が口を滑らされて。で、アテナ様と同等の格の神様となると・・・と当てはめていきました。トール様はアテナ様に教えて頂きましたし、オーディン様はクラン名、アルテミス様は月で弓・・・」


「・・・つまり、アテナのせいかね」


オーディンが溜息をつく。

いや、オーディンはそもそもクラン名が。


「まあ、事情は分かった。だが、何処から秘密が漏れるとも限らん。エイプリル殿、貴方はオーディン殿と」


それ、アテナがもうやったから、


「え、私求婚されてますか?そうですね、流石に神様の求婚を断るのは」


エイプリルが分かっててボケる。


「なっ、ち、違う」


狼狽えるオーディン。


「オーディン、貴方・・・」


アテナが半眼で言う。


「ちょっとお・・・」


アルテミスが非難する様に言う。


「オーディンよ、ちょっと後で話そうか」


トールが静かに言う。

アテナとアルテミスは面白がっているが、トールは本気っぽい。


「それで、本題に入りませんか?」


エイプリルが言う。


神々が座り直し、真面目な顔になる。

俺もエイプリルの横に座る。


アルテミスがコトリ、と小瓶を机の上に置き、語り出す。


「結論としては、これを創ったのは、悪魔。しかも、かなり高位の」


悪魔。

居るのか。


「これは、この世界でも上位の神・・・と言っても低級神だけど・・・と、紛れている最高神しか知らない事なのですが。無論、子らが知って良い話では無いので、注意して下さいね」


「私とエイプリルは聞かない方がよろしいのでは?」


「私達は出ていくわ?」


俺とエイプリルがそう口にする。

アルテミスが続ける。


「今、この世界に侵入しようとしている悪魔がいます。その名は・・・アスモデウス」


知ってる名前来た。

後、俺達の発言スルーされた。

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