第35話 自分達の力で

「貴方達が見たのはその眷属。強さはピンキリだけど、強いのになると、人の身では勝てないでしょうね」


ランク4があしらわれてたからなあ。


「彼らの目的は・・・低級神を支配下に置く事と、子らを堕落させる事。これは小さな魔石に快楽の魔法が封じられています。体内に入れると、多幸感が味わえ、依存症も残らない・・・心理的な依存は発生しますが」


理想的な薬物かあ。


「魔法構成によっては、永久に持続させられるけど、これは一定期間で効果を失う様になっています。定期的に摂取する必要がある様に、でしょうね」


逃げないようにかなあ。


「今は、この世界を護る結果を弱める石碑の設置、子等をろう絡して愉しみ、そして求めさせる事で信心を集めアスモデウスの力を増大させる・・・他にも色々してるみたいですね」


「なるほど・・・そこまではこの世界の神々で調査出来てるって事ですね」


俺が言うと、


「いや、そうではない。この世界の神々では何かがこの世界を狙っている、とまでしか突き止めておらぬ。他の調査は私達4柱で、天界を通じてこの世界の神々に通知したのだ」


あんたらか。


「それで、この世界の神々は、天界に対し、援助を依頼したのだが・・・天界は、この世界に居る神々だけで対処するように回答してな。今は対策でもめているようだ」


多分、この4柱で勝手に解決してくれ、ってのが天界の本音だと思うよ。

オーディンが続ける。


「何時までも上位の神に頼っていては駄目だ、自分達の事だから自分達で何とかするんだ、という結論になった一派もいるらしく、頑張っているようだ。君達があったウルフのクランの神、フォリテドーテ等もその考えに至ったようだ」


知らない名前の神だ。


「随分詳しいですね、ある程度交流があるのですか?」


エイプリルが尋ねると、


「いや、流石に周囲で起きた森羅万象くらいは把握出来るよ。これでも最高神に名を連ねてるのでな」


オーディンが言う。


「・・・なるほど、フリズスキャルヴですね」


エイプリルが頷く。

座ると森羅万象を識ることが出来る神具だ。


「いや、そんなもんなくても、普通に識る事が出来るぞ」


トールが口を挟む。

違ったらしい。


エイプリルが少しバツが悪そうだ。


「ちなみに、アスモデウスは実力的に、既にこの世界に侵入できる状態になっています。今は下級神が色々対策取るのが面白くて、入れないふりして色々蠢動しているようね。私達が気付いてるってばれたらすぐに入ってきちゃうから、貴方達ばれないように気をつけてね?」


アルテミスが言う。

待て、それ何で教えた。


「・・・すみません・・・今のは流石に聞かない方が良かったと思うのですが・・・」


俺が一応言ってみる。


「アスモデウスの場所が分かっているなら、とりあえず捕らえて頂けないのですか?」


エイプリルが4柱の神に向かって言う。


「捕らえても良いんだが・・・せっかく他の神々がやる気になっているからな。流石に全滅したら手を出すが、やれるだけやらせてやりたい。奴等も成長して貰わないと困るからな。それに・・・子等も頑張っているしな」


トールが言う。

成る程。


「なので、他の神々が知ったらショックを受けるので、今話した内容は、他の子等や神々にばれては駄目ですよ?リパーとジリアンにもです」


アテナが言う。

だから何で話した。


「何にせよ、お前達に当面やって欲しい事は・・・私達の事を知られないこと、その上でお前達が出来る範囲で他の神々や子等を手伝って欲しい事・・・恐らく、魔剣の回収、魔結晶の回収、魔石碑の破壊・・・そういったクエストが出る筈だ」


オーディンが言う。


「スキルの中には、頭の中を部分的に読むスキルも存在します。気をつけて下さいね」


アテナが言う。


「・・・だから何で話したんですか・・・」


俺は力無く言った。

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