規約に反する迷惑行為は禁止です

第32話 人徳

「おう、来たな」


次の日。

酒場に直接は集合せず、俺のクランのアジトに集合、四人揃った状態で酒場に来た。


まあ、怖くて乱暴そうに見えるけど、意外と悪い人でもない気もする。


「おはよう御座います。昨日はボスは見つかりましたか?」


俺が尋ねると、


「おう、お前等が教えてくれたおかげで助かったぜ。ランク3の大物が居たぜ」


良かった、そっち行かなくて。

多分、ランク3なら死んでた。


ウルフは真面目な顔になり、


「こんな低階層に、あんな大物が出るのはおかしいんだがな。最近はフィールドでもちょくちょくおかしな奴が出てるらしいし・・・」


首を傾げる。


「最近はマナの乱れも頻繁らしいですね。良からぬ事が起きなければ良いのですが」


エイプリルが言う。


「まあ良い、今日はお前達にとびっきり美しい景色を見せてやる。極楽鳥の羽毛採取・・・難易度ランク4のクエストだぜ」


ウルフがにかっと笑って言う。

極楽鳥・・・魔物だろうか。

素材剥ぎ取りとか出来ず、倒したら魔石になりそうだけど。

どういう仕組みだろう?


ウルフがギルド受付所に行き・・・話し込んで・・・ややバツが悪そうにこっちに戻ってくる。


「すまねえな、お前等。今捜索願が出ているらしくてな。その緊急クエストを受ける事にする。極楽鳥はまた今度見せてやるよ」


やっぱり良い人そうだ。


「俺達も手伝いますよ。捜索に向いた職業も居ますし」


「お、それは有り難い。よろしく頼むぞ」


ウルフが嬉しそうに言う。


エイプリルはウルフからクエスト情報を受け取ると、リパーと一緒に確認する。


「行方不明・・・真面目な性格の人もいれば、遊び好きの人も居て・・・共通点は無いわね。クラン所属の冒険者から、一般の市民まで・・・」


エイプリルが考え込む。


「実際、幾人かは見つかってるそうだが・・・廃屋に集まって、薬をやってたりしたらしい。そんな事する奴等では無かったらしいんだが」


ウルフが言う。


「つまり、薬を流してる奴が居るって事か」


俺が言うと、


「そうだな。別に薬は違法では無いし、それ自体は構わないんだが・・・どうも、手を出さなさそうな奴まで巻き込まれているのはおかしいし、あまり金銭が動いている訳でも無さそうでな」


ウルフが考え込む。


「そうなると、ウルフさんのクエストの目標は、首謀者の捜索ですか?」


俺が尋ねると、


「いや、そこまでは考えてねえ。とにかく数が多いから、片っ端から探そうかと。探していけば、偶然元凶に辿り着く可能性もあるしな」


エイプリルが言う。


「それじゃまず情報収集ね。サーチするには、本人が使っていた物とかがいるわ。聞き込みして、何か本人の所持品を集めて」


「分かった。俺も手の物に手伝わせよう」


ウルフが言う。


「レプリケーション」


エイプリルがクエスト票を魔法で複製する。

粗悪な複製ではあるが、情報を見るだけなら問題ない。


「っしゃ、手分けして集めるぞ」


ウルフが言い、ひとまず解散する。


--


「みんな、有難う〜」


ジリアンが、集まった人達に御礼を言って手を振る。

ぞろぞろと解散する人達。

主に女性、美女も多い。

老若揃っている。

かと言って、男性も2割程は混じっている。

その数、100人以上。

しかも、今日初めて話す人も多いとか。

くそ・・・人脈チートめ。


一応みんな聞き込み等したのだが、ジリアンが集めた量が圧倒的・・・と言うか、他の人が集めた情報はジリアンも集めていたという。

しかも、所持品どころか、目撃情報も多数。


「く・・・どうして世間はイケメンに優しいんだ・・・」


ウルフが取り巻きに囲まれつつも、膝をつき、悔しがる。


「イケメンだけじゃ説明つかなさそうだよなあ」


俺もぼやく。

しかも、よく言うリア充爆発しろって言いたくなるタイプでもない。

まさに人徳。


「ジリアン有難う。おかげで何とかなりそうだ」


とりあえず助かったのは事実だ。

ジリアンに礼を言う。


「僕は何もしてないさ、みんなのおかげだよ」


ジリアンがポリポリ頭をかきながら言う。


「情報も集まったし、行きましょう」


エイプリルはジリアンからメモや所持品を受け取ると、みんなを促す。

ウルフは他の取り巻きを解散させた。


「よし・・・行くぞ!」


ウルフが号令をかけた。

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