第26話 忠告

「おはよう」


エイプリルが目を覚ます。


「おはよう、良く眠れた?」


俺が尋ねると、


「ええ、ある程度魔力も回復したわ。交代で寝る?」


「いや、まだ大丈夫。先を急ごう。正規ルートにさえ戻れれば何とかなる」


「そうね」


エイプリルが立ち上がる。


エイプリルが各種探索魔法を行使する。

噴水で喉を潤し、携帯食料を食べてから立ち上がる。


「とりあえず、此処を拠点、かな。しばらく歩いて正規ルートに行けなさそうなら此処に戻り、別の方向に行きましょう」


エイプリルが提案する。


「それが良さそうだな」


俺が頷く・・・ふと気になり、


「マッピングとコンパス・・・道を外れた場合ってどうなっているんだ?」


「地図が別れて表示されているわ。道が合流したら、地図が合体するみたい」


「成る程」


ややこしそう。


結局4時間程歩き、もう4時間掛けてウォータースポットに戻った。


「・・・二階層なのに、異様に広くないかしら」


エイプリルが不満を漏らす。


「一階層も広かったしね・・・未探索領域が広すぎるよ。未探索領域は強い魔物も出るしね」


「リザードマンの群れとか、死を覚悟したわ・・・」


「エイプリルの機転で助かったよ。有り難う」


ダンジョンの適正レベルは正規ルートのみで決められている為、正規ルートを外れると適正レベルが通じない。


エイプリルが乾燥食材で簡易なスープを作ってくれた。

美味しい。


「美味しい・・・やっぱりエイプリルは女の子なんだね」


「男とか女とか関係ないと思うわ?でも、料理の腕を褒めてくれたのは素直に有り難う」


エイプリルはこっちを見て、


「それでどうするの?今日は寝る?」


「もう少し耐えられるけど・・・交代で少し眠らせて貰おうかな」


「分かったわ。先に寝て良いわよ」


「了解。じゃあ少し眠らせて貰う」


結構限界に来ていたようだ。

あっさり意識が落ちた。


--


目が覚め、エイプリルが交代で眠り・・・エイプリルが起きたので出発。

2時間程歩き・・・


「ストップ」


エイプリルが言う。


「音波探査に何か引っかかったわ・・・魔物ではなさそう」


エイプリルの誘導で向かうと、別の冒険者に会った。

挨拶を交わす。


「君達、正規ルートの外から来たのかい?まだそのレベルで行くのは推奨出来ないな」


「いえ、トラップで落ちてしまって・・・その後迷ったんです」


痛い指摘だ。

俺が言い訳すると、


「・・・恐らくそのトラップの場所も、正規ルートの外だと思うけどな」


図星だ。


「すみません、気をつけます」


「君達の帰りを心配する人だっているだろう。自分だけの命と思って無茶をしない事だ」


忠告されてしまった。


「とりあえず、正規ルートに入ったわ。戻りましょう」


「・・・やれやれ、何とか助かったな。これからはもっと気をつけよう」


「ええ。壁にもサーチが必要ね」


ダンジョンから帰ったら、ギルドに捜索願いが出ていた。

アテナにも怒られた。

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