第25話 落とし穴

シャッ


敵のワームの群れを、魔力の籠もった槍の薙ぎ払いで牽制、足止め。


「燃えなさい!」


エイプリルの魔法が発動、ワームを一網打尽に燃やす。


バッ


エイプリルの横にスケルトンが湧く。


ガガガッ


エイプリルが無詠唱で放った風の刃が、スケルトンの動きを鈍らせ、


ガシュ


俺が投擲した槍が、スケルトンを倒す。

俺の手に槍が戻り、


シュシュシュ


槍を回してから、トン、と地面につける。

特に意味はない。


「横湧きし過ぎじゃないかしら」


エイプリルが文句を言う。


「何故か狙われるよね。偶然の筈だけど」


俺が言う。


今は、エイプリルとペアで狩りをしている。

エイプリルとのペアは安定している。

エイプリルも簡単な回復使えるし。


「ドロップが装備と魔石のみっていうのは、楽だけど味気ないわよね」


「ランクアップもまだまだ先が長いしね。53/500・・・これと、ランク2レベル400以上のボスの撃破だっけ」


「PTで倒せば良いらしいから、難しい条件では無さそうだけど」


エイプリルが遠い目をする。


キシャア


ローパーが空中に現れ、エイプリルに襲いかかる。


「きゃっ」


エイプリルが複数の火球を発生、次々にローパーに炎が飛ぶ。

ローパーが炎を突き抜け、エイプリルに向かう。

身を引いて、躱すエイプリル。


ガコン


エイプリルの背後の壁が動く。


俺の槍がようやくローパーを貫き、ローパーが魔石になって落ちる。


エイプリルが壁に空いた穴に吸い込まれる様に落ちる。

慌てて助けようとして手を伸ばし、そのまま一緒に落ちる。

エイプリルの浮遊魔法が発動、落下スピードは弱まるが・・・天井は閉じ、下層に落ちてしまった。


「・・・床の罠は気をつけていたつもりだったけど、壁までは分からなかったな」


「困ったわね・・・とりあえず上を目指しましょう。幸い、一階層しか落ちてないわ」


ギチ・・・


カマキリの魔物が湧く。


ザシュ


俺の槍を受け、


コトリ


魔石に変わる。


「幸い、敵の強さは変わらないみたいだ」


「貴方の攻撃は参考にならないわ?」


何故。


「ディテクトオブジェクト」


エイプリルが検知の魔法を発動。

床の仕掛けを探す魔法だ。

他に、マッピングやコンパスの魔法も行使している。

ただ、魔力は着実に消費するので、2時間に一度は休憩を取る必要がある。


「やっぱり、正規ルートの外のようね。何処にも該当しなさそう」


「とりあえず、正規ルートに合流しないとな」


ガバァ


芋虫が3体出現、向かってくる。

一体を槍で倒す。

一体が飛び上がるが、エイプリルが作った氷に阻まれ、地面に落ちる。

もう一体が横を抜けようとする。


ザシュ


エイプリルが作った石の杭が隆起、芋虫を突き刺す。


俺の一撃で、氷をどけようとした芋虫にとどめを刺す。


エイプリルが炎を無数に作り、芋虫に浴びせ、倒す。


「湧きが良いわね・・・休憩したいわ」


「安全地帯とかは無いからなあ・・・」


槍を投擲、遠くにいるリザードンを倒す。

近くに湧かれると面倒だ。


ゴアアア


ワームが数体湧く。


ゴウ!


エイプリルが発動した大魔法が、6体のワームを焼き尽くす。

チャージしておいておいたものだ。


しばらく進むと、小部屋に出た。

真ん中に噴水があり、地面には草が生えている。


「ここは?」


「ウォータースポット。確実ではないらしいけど、敵の湧きが極端に少ないらしいわ。休憩していきましょう」


「エイプリル、寝てて良いよ。俺が見張りをする」


「有難う」


エイプリルは魔石を幾つか積むと、魔法を行使。

魔石から炎が上がる。


「8時間はもつと思う」


「有難う、エイプリルは頼りになるな」


「そろそろ魔力が切れそうだけどね・・・お言葉に甘えて寝させて貰うわ」


エイプリルはそう言うと、こちらにもたれ掛かって寝息を立て始めた。

可愛い寝顔だ。

にしても・・・帰れると良いのだけど。

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