第24話 意識すると難しい

ちょ。

・・・そっかあ・・・そういう趣味かあ・・・。

・・・俺に抱きついているのは、深い意味ないよな、きっと。


「俺はモテた経験はないからなあ」


話を逸らす。


「それでも、人生の最後の方は、ちょっと気になる娘は居たんだけどね・・・といっても、相手はこっちに恋愛感情は持ってなかったとは確信出来る」


「そうなの?案外向こうも気にしてたんじゃないかな」


「流石に年齢が離れすぎてるからなあ・・・向こうは多分女子高生、こっちは30過ぎのしょぼくれたリーマン」


「・・・年の差は関係ないと思うよ!」


「更に、スタイル抜群、可愛くて、胸が大きくて」


ジリアンが半眼になってこっちを見る。

いや、お前も男ならちゃんと食いつけよ。


「部活をやってたのかな、よく疲れて乗ってきて、電車で横に座ってた・・・何かいい匂いがしてたな。何故か色々なスポーツのユニフォームを着ていた。よく疲れているのかこっちにもたれかかって寝ていたよ。可愛かったなあ・・・どうした?」


ジリアンが何故か挙動不審だ。


「長髪なんだけど、髪型ちょくちょく変わってて・・・ポニーテイルやツインテール、ストレートに三つ編み・・・どれも可愛かったな。まあ何度も一緒に座ってたし、嫌われてはいなかったと思う。歳の離れたお兄さん、とでも思われてたんじゃないかな。俺の人生で女性と縁があったのなんてそれくらいだ。ジリアンみたいに、モテたって話とは違うけどな」


・・・男に興味あるのなら、女の子にモテても仕方無かったのかも知れないけど。


「とりあえずさっさとダンジョンクリアしてしまおう。ほら、立てるか?」


ジリアンの手を持とうとすると、


「ひゃっ」


驚いて手を引っ込めるジリアン。

おーい・・・?


「・・・どうした?」


「・・・な、何でも無い・・・ですよ?」


・・・どうしたのだろう。

ジリアンが超挙動不審だ。


「とにかく、叩いてみてくれ」


「は・・・はい・・・」


ジリアンがしずしず・・・とパネルに向かっていき、持ち上げようと、力を込め・・・おい?


「・・・どうした?」


「・・・力を入れて持ち上げたら・・・はしたなくないかな・・・?」


涙目でこっちを見ていうジリアン。

はしたないって何?!


「ほら、ちゃんと持って」


「あう・・・」


ジリアンの後ろにまわり、手を持って一緒に持ち上げる。


ぽこん、ぽこん、と順番にやり、パネルを統一。

扉が開く。


「調子が悪いのか?とにかく先に進もう」


「う・・・うん・・・」


・・・ジリアンが女の子なら可愛いのに。


次の部屋は大きな宝箱の部屋だ。

短いなあ。


箱には槌が入っていて、説明書が入っている。

・・・鑑定がないからなあ。


名称:

 戦乙女の流星槌ピュアプレイヤー

説明:

 神銀ミスリル製の槌。

 非常に軽い。

 想いの力や精神力、聖なる力により、

 その威力を増す。

 破損しない。

 聖職者系は装備不可。


トールの大サービスのようだ。

でも何故このネーミング・・・?


「良かったな、軽いし、聖職者系なら威力上がるし、壊れないし、聖職者は職制限で装備できないし・・・ジリアンが欲しかった装備じゃないか?」


「あ・・・うん・・・あ・・・僕は今回ほとんど何もしてないから・・・オーディンに渡した方が・・・?」


「いや、良いよ。今回はジリアンの強化が目的だし。是非ジリアンが使ってくれ」


「・・・う、うん。有り難う」


魔方陣を起動して外に出ると、ダンジョンが崩れる。


「今日は有り難う・・・御免、今日はちょっと・・・」


「お、おう。じゃあな」


そう言って、ジリアンが足早に去って行く。

何かあったのだろうか。

調子悪そうだったし、体調悪かったのかも知れない。

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