第16話 凶獣討伐見学
朝。
久々に、オーディンとの特訓だ。
俺、ジリアン、リパーの3人で、オーディンに打ち込む。
尚、エイプリルはアルテミスに魔法を教わっている。
トールに頼むと、体力トレーニングや武術の特訓しかしてくれないらしい。
アテナとトールも見物に来ている。
「つまり、神代魔法の神髄とは・・・」
アルテミスの講義内容が少し聞こえてきて不安になったが、大丈夫だよな?
ジリアンの場合、防御の練習がしたければアテナが適任なんだろうけど。
「はあっ!」
ジリアンが仕掛ける。
オーディンが腹に蹴りを入れ、ジリアンを飛ばす。
死角から回り込み、俺が槍を突き入れる。
同時に、背後からリパーが迫る。
「はっ」
練気を周囲に放ち、俺とリパーが吹き飛ばされる。
待て。
「・・・タケル様・・・今のは武術とは違う・・・」
「良いか、実戦ではそんな事は言ってられぬ。この練気も覚えて貰うぞ」
誤魔化されてるだけな気がするけど。
結局リパーとジリアンは諦めたが、俺は何とか練気を覚えることが出来た。
使ってみると確かに武術の延長線上で良い気がした。
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午後からは、凶獣討伐に参加する事になった。
凶獣とは、定期的に発生する強力な魔物だ。
特定の種類ではなく、毎回ランダムだ。
レアアイテムを落としたり、参加するとポイントや報酬が高かったりする。
また、上位陣の戦い方を見れるのも良い点だ。
本来は上位陣だけで問題ないのだが、下位陣にも上位陣の動きを見せるため、敢えて広いランクの参加を推奨している。
「凶獣・・・人類に与えられた試練とも言われる災厄ですね。何度も調査され、特に呪いや呪術の跡等も発見できていないのですが・・・何故かあの場所に定期的に凶悪な魔物が発生するそうです」
エイプリルが言う。
「怖いです・・・」
リパーが言い、
「大丈夫だよ。君達は僕が必ず守る」
ジリアンが落ち着かせるように言う。
女の子の扱いはジリアンに任せておけば楽なのだが・・・時々意図的に身を引いてる感があって困る。
凶獣の発生に関しては、原因不明らしいが。
恐らく、多分神々が上の神々に頼んで定期的に作って貰ってるだけだと思う。
とは言え、そもそもここが低級神のレジャースポットって情報も一般公開されているものか分からないから、迂闊に物を言えない。
「オーディンさん、落ち着いてますね?」
リパーが言う。
「もし討伐が失敗すれば、街に大きな被害が出る可能性があるし・・・討伐中に死者が出る可能性もあるそうです。一応、ロストする可能性は低いらしいですが・・・」
多分その辺は調整して産み出していると思うから、大丈夫だとは思うけど。
「オーディンさん落ち着いておられるので、傍に居たら安心できます。怖いのでちょっとこうさせて下さい」
リパーがぴとっとくっついてきた。
まあ怖いのなら仕方が無い。
「おいお前達、俺様の活躍を見て考えを変えるが良い。俺は寛大だから、受け入れてやるからな?」
ウルフがやって来る。
「ほう、それは期待しておこうか」
こっちを注視してくれているのだろう。
ヴェルローズがウルフの肩を叩く。
「貴様・・・ヴェルローズ・・・く・・・そうだ、忘れてた。お前等に構っている場合じゃなかった」
そう言って立ち去るウルフ。
「やれやれ・・・アレでも一応かなりの実力者ではあるのだけどね。君達も済まないね」
「いえ、有り難うございます」
俺はビジネススマイルをヴェルローズに向ける。
「いや、勘違いしないで貰いたい。これで恩義を感じる必要は無いし、私に惚れる必要もないからな。私に憧れて思いを告げられても、私はそれに応えない可能性が高い。気をつけて欲しい」
惚れないって。
後、応えない、じゃなく、可能性が高いって何だ。
ワンチャンあるのか。
「分かりました。肝に銘じておきます」
再度ビジネススマイルを返すと、
「ふ、ふん。分かったらいい。いいか、応えるとは限らないんだからな」
そう言って立ち去るヴェルローズ。
ぎゅうううう。
「リパー、痛い。どうした?」
「何でもないです・・・」
ウルフが去って急に怖さが襲ってきたのだろうか。
もしくはヴェルローズが去って不安になったのかも知れない。
まあ抱きつかせておいてやろう。
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2018.03.30
呪術の後→呪術の跡
ご指摘有難う御座います。
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