第17話 強者達

参加者が集合するのを待って、魔の台地に向かう。

そこにいたのは・・・ドラゴン。


「あれは・・・ランク5相当の魔物、クラウドドラゴンだね。霧による防御、霧のブレス・・・そして他種の魔法を操る。危険な敵だ」


近くに寄ってきた若者が解説を始める。

便利なので特に突っ込まない。


「先陣を切ったのが、この都市唯一のランク5、白銀騎士姫プリンセスナイトヴェルローズ。この街の治安が高いのは、彼女のお陰と言われている。圧倒的な剣捌き、体術に加え、専門の魔導士すら及ばない程の氷の魔術を操る。人類最強の評価は決して過言ではない」


ヴェルローズが剣を振るうと、周囲の空間が軋みを上げる。

昼間にも関わらず、溢れた魔力が光を出し、一撃一撃で、周囲が強く照らされる。

眩しい。


クラウドドラゴンは、ミストシールドを展開し受け止めるが、防げなかった攻撃が着実にクライドドラゴンを傷つけていく。


「突撃したのが、ランク4、喰人鬼オーガーウルフ。性格には問題があるがその力は一級。その力を慕う人は多い。男の舎弟は多いが、女性には不人気」


ウルフが巨大な斧を振りかざし、クラウドドラゴンに突撃。

光をまき散らし放った一撃は、クラウドドラゴンを押し下がらせる程だ。


ゴウゴウゴウ!


大砲の一撃かと錯覚するような光が、クラウドドラゴンを襲う。


「ランク4、魔弾ナイトスナイパーベティーナ。その一撃は、城をも吹き飛ばすと言われる。戦場においては姿を見せないと言われている。今は普通にそこに居ますが」


確かに普通に居るなあ。

居るのか居ないのか分からなかったら貢献度も加算されないだろうし。


クラウドドラゴンが激しい攻撃を繰り出すが、大男が盾でその攻撃を受け止める。

受け止めれる物ではなさそうだけど。


「ランク4、大楯ラストガーディアンガウェイン。あらゆる攻撃を防ぐと言われている。何でも、そのスキルに秘密があるとか」


またスキルかあ。


美しい女性が手を振ると、傷ついていた人々の傷が癒えていく。


「ランク4、月聖女ミスティックエイダ。教会に直接仕え、神々の会議の司会を務め・・・一方で、初心者の聖職者への指導もすると言う・・・その手が救った命は数知れません」


若者が次々と手の平で指しながら、


「他にも、ランク4PT、天の剣シャイニングや、風の岩テンペスト等、数多くの参加者が・・・」


覚えきれません。


「貴方は、ランク4の大賢者、千の噂サウザンズルマーオースティンさんではありませんか?」


エイプリルが尋ねる。


「私の事をご存知でしたか。博識なるお嬢さん」


「世界の謎を収集し、この世界の謎に迫ろうとしているという・・・魔導士ギルドの長で、書庫にはその成果が収められ誰でも閲覧できるとか・・・他に、色々な冒険者の情報を集めては、資料として編纂していると聞いております」


それは面白そうだ。

・・・どこまで開示していい情報かも分かるし。


「ただの趣味なのですけどね。幸いそれが人の役に立っているようです」


ドウゥン


クラウドドラゴンが倒れる。


「終わったようですね」


オースティンが言う。


「・・・本当に何もしなかったなあ」


俺が呟くと、


「このクエストで下位の者を募集するのは、下位の者に上位の者の戦い方を見せると言うのが大きいですからね。貢献していない者の報酬は微々たる者ですし」


オースティンが応える。


まあ一つ分かったのは・・・上には凄い奴等がいる、と言う事だ。

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