第12話 神官の青年
今日も午前中やることが特にない。
クエストにでも出ようかと考えつつ、掃除をしていると、アルテミスが尋ねてきた。
「あらアルテミス、今日もお金が必要なのですか?」
アテナが尋ねると、アルテミスが応える。
「いえ、今日は別の用事です。貴女の所のオーディン殿を借りたいのだけど」
「アルテミスの所も、新人が入ったとかですか?」
「ええ、そうなのよ。聞けば他の人にはオーディン殿と組ませていると聞いたわ。私のところにも貸して頂戴」
「私の資金に頼って、次は人材に頼るとは・・・貴女もちゃんと自立出来るようになって下さいね?」
アルテミスがアテナの頬をむにーと伸ばす。
「誰のせいで天界追い出されたと思ってるのかしら」
「いらいわ」
「アルテミス様、私で良ければご助力させて頂きますが」
「オーディン殿、御願いします」
アルテミスのアジトに移動する。
待っていたのは、美形の青年だ。
「お帰りなさいませ、テミス様。そちらの方が、オーディンさんですか?」
アルテミスが紹介する。
「この子が、私のクランに新しく入った、ジリアンです」
「宜しく、ジリアン」
「宜しく御願いします、オーディンさん。ステータスをお見せしますね」
名前:ジリアン
種族:人間
職業:プリースト
レベル:1/99
ランク:1
クラン:月の庭
スキル:
やっぱりスキル持ち。
「クラスはプリーストですが、スキルの効果で武具の職業制限がなくなるので、軽鎧、剣、盾で武装します」
「回復兼、前衛だね。分かりました」
やっぱりゴブリン狩りに行く。
ジリアンは、最初は少し戸惑ったものの、すぐになれた。
動き自体は非常に良く、躱し、的確に急所を切る。
「戦いが上手いですね。ジリアンさんもVRゲームとか得意だったのですか?」
「いえ、ゲームはやったことがないですね。スポーツをやっていたので、そのせいだと思います」
「なるほど」
前衛二人、というのは楽しい。
さくさくゴブリンを狩る。
午後からは、4人でキノコの森に行く。
戦いはかなり安定してきた。
リパーも、まだ不安定ながら、敵への攻撃に混ざれるようになっていた。
休憩中、此処に来た経緯が話題になった。
どうも、みんなスマホゲームから来た訳ではない、と分かったからだ。
「俺は、冒険者になろう、っていうスマホのゲームからだな。元々はパソコンのVRゲームがメインだったんだが、目先を変えてスマホゲームに手を出した」
俺が言うと、
「私は、箱庭物語、っていうパソコンゲームからね。私は主に家庭用ゲーム機でVRゲームをしていたのだけど、たまたまブラウザゲームをやろうとして・・・規約に同意しちゃって」
エイプリルが言う。
「僕は、テキストベースのゲームをやるサイトで、登録って押したら気付いたら手遅れだったよ。普段は部活に時間を使っていたので、ゲームというのはやったことがなかったんだ」
ジリアンが言う。
「私は・・・小説投稿サイトをみてたら・・・スマホが何かに感染したとかでてきて・・・慌てて、はいって押したら、気付いたら死ぬって言われて・・・気付いたら・・・」
リパーが涙目で言う。
うわ・・・酷いな・・・
そして、スマホで見慣れない画面になっても、迂闊にはいとか押しちゃ駄目。
「スマホゲームのパズルゲームとかはやったことがありました」
多分その経験は生かせないと思う。
「なるほど・・・この世界に来る方法は、一通りではない、って事みたいだね」
ある程度騙し要素はあるみたいだけど。
特にリパー。
休憩を終え、狩りを再開。
最後ギルドで生産。
今回はリパーも普通に戦闘に参加していたので、4等分した。
報酬額にみんな驚いていた。
「これ、1ゴールド1円くらいの価値よね・・・この世界、1日で相当稼げるのね」
エイプリルが言う。
「多分、オーディンさんが凄いだけだと思います」
リパーが言う。
「まずはネイムレス様に借金返さないといけないけどね」
ジリアンが言う。
「まあこれで解散にしようか。良ければ明日は朝から狩りでも良いかもしれない」
みんな賛成らしく、頷く。
「では、また明日」
そう言って別れた。
アジトに戻ったら、アテナに番い候補が増えたか聞かれた。
男だ、と答えたら、ちょっと悩むような仕草をしていた。
悩む余地はないと思うよ。
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