第11話 魔法少女
しばらくは、オーディンはリパーを鍛えることにしたらしい。
午前中が暇になった・・・と思っていたら、トールがアテナを尋ねてくる。
どうやら生活資金に困窮し、お金を借りに来たらしい。
ちなみに、オーディンにもお金を貸している。
「今はうちのオーディンのお陰で資金に余裕があるので、構わないですよ。お金を稼ぐあては有るのですか?」
「うちにも一人加入者が来たので、その娘が稼げるようになれば・・・そうだ、オーディン殿、申し訳ないがうちの娘も見て貰えないか?何でも、オーディンの所の・・・ああややこしい・・・リパー殿を見てやっていると聞いた」
「別に構わないですよ」
「それは有り難い。是非うちに来てくれ」
トールに着いて行くと、落ち着いた感じの女の子が居た。
「お帰りなさいませ、ニール様」
「ただいま、エイプリル」
トールは俺の方を向き、
「この娘が、エイプリル。同じく日本からの来訪者だ」
エイプリルの方を向き、
「この男がオーディン、ネイムレスの所の所属メンバーだ。キミと同じく、最近日本から来た」
「初めまして、オーディンさん」
「初めまして、エイプリルさん」
「オーディン、悪いが、二人で組んで色々教えてあげて欲しい」
「分かりました」
どうしようか。
いきなり戦闘は良くないのだろうか。
でも、この娘が戦闘苦手とは限らないし。
「じゃあ、ゴブリン退治をしてみようか」
「はい・・・あ、ステータスを見せておきます」
名前:エイプリル
種族:人間
職業:メイジ
レベル:1/99
ランク:1
クラン:ビルスキルニル
スキル:
「エイプリルさんも固有スキル持ちですね」
「転生者ですので」
「俺も転生者だけど、俺は固有スキルはない」
「・・・そうなんですね」
ギルドでゴブリン討伐を受け、森に入る。
まずは俺が1体倒してみる。
次いで、倒して貰おうとするが・・・
「すみません、まだ直接戦う自信がないので、足止めを御願い出来ますか?」
・・・そりゃ後衛だからそうか。
納得し、ゴブリンを槍の先に出した盾でブロックし、足止めする。
ゴッ
エイプリルの放った炎の矢が、ゴブリンを焼き尽くした。
多分足止めしなくてもいけたと思うけど。
「上手くいきましたね」
「はい、VRのゲームはやったことがあったので・・・まだ少し怖いですが、早く慣れるようにしますね」
午後からは、エイプリル、リパーを連れて、狩り。
採取も一応受けたが、メインは討伐だ。
エイプリルはだんだん慣れ、足止めしなくても倒せるようになっていた。
俺も、ちょくちょく手を出し・・・
リパーは、まだ怖いらしく、手を出そうとしては身を引き、結局荷物運びをせっせとやっている。
まあ、徐々に慣れるだろう。
リパーが、
「レベルが20も上がりました・・・」
エイプリルが、
「私は40上がったわ」
と言い合っている。
ちなみに、敵を倒さなくても、経験を積めばそれでレベルが上がる。
リパーがレベル上がったのは、それだけリパーにとって大変な事だった、という事だ。
・・・にしても、上がった量がおかしいな。
多分、オーディンとトールが、経験値アップ10倍とか20倍とかをクランスキルでこっそりつけているのだろう。
報酬は、2:4:4で分けた。
「お疲れ様」
ギルドに報告した後は、お互い挨拶し、別れた。
帰ったらアテナから、番いになれそうか聞かれた。
だから違うって。
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