第9話 盗賊の少女
「とりあえずアルテミス、これを」
「・・・これは・・・?」
「私と、このオーディンで調べた、クランの運営のコツとか、この世界のルールとかです。原本を複製した物なので、それはあげます」
「アルテミス用って書いてある書類用意してあるって事は、やっぱり意図的に私を追い込みましたよね!!」
アルテミスがアテナをぐらぐら揺らす。
そして俺の方を見て、
「貴方にはお見苦しい所をお見せしました。私の事は、テミス、とでも呼んで下さい」
原因の半分は多分俺なのだが、黙っておく。
そして、元の名前に近い名前にしてくれるあたり優しい。
「アテナはいるか!」
もう一人入ってくる。
「あら、トール」
「お前・・・ん?」
アテナは、話も聞かず、トール用、と書かれた書類を渡す。
「頑張って下さいね」
「お・・・おう・・・?」
出鼻を挫かれ混乱するトール。
尚、ニールと呼ぶように言われた。
--
「パーティー・・・ですか?」
今朝もオーディンに稽古をつけてもらっていると、オーディンから依頼された。
「ああ、うちの所にもようやく一人入ったんだが・・・まだ来たばかりでな。色々教えてあげて欲しい。常に組めとは言わないから、気が向いたときにちょっと組んでやって欲しい」
「了解しました」
「それと、俺はタケルと名乗っているから、その点はよろしくな」
クランメンバーにも明かさない感じなのか。
「了解しました」
稽古を終え、オーディンのクランのメンバーに会う。
「初めまして、オーディンと言います」
「こちらこそ初めまして。リパーと言います。タケル様のお弟子さん・・・高名な冒険者さんなのですか?・・・名前は何だか凄く強そうなのですが」
「・・・名前は気にしないで下さい。この世界に来られた所ですか?」
「はいそうなんですよ。まだギルドも登録しただけで・・・こんな形ですね」
名前:リパー
種族:人間
職業:シーフ
レベル:1/99
ランク:1
クラン:フリズスキャルヴ
スキル:
クラン名・・・オーディン、自分を隠す気があるのか?
そして固有スキル持ち。
普通はそうだよなあ。
と言うか、なんか字面が凄そうなスキルだ。
「俺もこの世界に来てから日が経っていません。固有スキル良いですねえ。俺はスキル無しなのでかなり微妙な感じです」
名前:オーディン
種族:人間
職業:ファイター
レベル:42/99
ランク:1
クラン:ふぁんしい
スキル:
なし
「固有スキル・・・なし・・・ですか・・・?転生されたんですよね?」
「・・・色々事情がありまして」
「事情・・・聞かないようにしますね」
分かってくれたようだ。
ギルドで薬草採取、ゴブリン討伐のクエストを受け、森に向かう。
「こうやってコツコツ薬草を採取しつつ、魔物を倒して、序盤はお金を稼ぎます」
「なるほど・・・」
「慣れてきたら、同時に幾つもクエストを受けると良いです。未達成でも特にペナルティーはないので。クエストを受けた状態なら、このギルドカードに討伐数が記録されるので、それをギルドで見せる形ですね」
「なるほど」
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