第6話 神槍あらざる鉄の槍

オーディンは俺に槍を差し出すと、


「これも何かの縁だ。私の名前で何時までも初心者ナイフというのもなんだしね。これを使うが良い。別にグングニルを渡す、といった事はしないよ。ただの鉄の槍だが、そのナイフよりはマシだろう。槍は嫌かね?」


「いえ、お金を貯めて槍を買う予定でした」


「だったら丁度良かった。一応隠し属性として不壊属性も付いているので、少々乱雑に扱っても問題ない」


「有り難うございます」


有り難い。


「アテナを助けてやってくれ。では、邪魔したね」


オーディンが去る。

まさか本人に会うとは・・・名前選択間違ったかなあ。


「アテナ様、これが今日の報酬です」


「有り難う御座います。全部渡していては大変だし、半分だけ上納して貰う形にしましょうか」


「はい」


残りの半分は自分の懐に戻す。


「お金はギルドカードに入ると聞いています。入れておくと良いでしょう」


あ、ほんとだ吸い込まれる。

便利。


「槍を扱った経験はあるのですか?」


「いえ、ないですね」


「では、オーディンに頼んで、槍の稽古をつけてもらうのが良さそうですね。彼は稽古をつけるのが好きですし」


アテナが横を向き何かもごもご言い、


「明日の朝から稽古をつけてくれるそうですよ。午前中は稽古をつけてもらうようにして下さい」


「はい、有り難うございます」


さて・・・夕食か。


「食材を買ってきて、夕食を作りますね」


「食費やアジトの物品等を買う場合は、ギルドのお金を使って下さい」


「はい、分かりました」


食材を買ってきて食事を作り、食べる。

アテナも普通に食事が必要らしい。

ついでに、壊れた備品の買い足し・・・あと、アテナからクラン用の端末を借り、収支簿を作る。

領収書も束ね・・・ついでに汚れた小屋の掃除をしていたら、そろそろ寝る時間となった。


「では寝ますか」


「・・・貴方、意外とハイスペックですね。これでも私は、天界では事務仕事の要として働いていたのですが・・・格が違う気がします。小屋も綺麗になりましたし」


「明日はインテリアとかも整えてみますね」


「御願いします」


--


「では御願いします、タケル様」


朝、オーディンに稽古をつけてもらう。

外なのでタケル呼びをする。


「うむ、オーディン殿、まず構えはこうで・・・」


槍の構え方、扱い方・・・から始まり、攻撃の際の魔力の込め方、を教わる。

最初は、荒く魔力を纏わせる方法で良いらしい。

この方法は、一番大きな傷をつけやすい。


他に、鋭く魔力を纏わせる事で貫通力を上げたり、魔力吸収を行う敵に対しては固く魔力を固めて攻撃する必要があるとか。

後は先端に魔力の壁を作って攻撃を受け止めたり、魔力を飛ばしたりも応用としてはあるらしい。


一通り試した後は、基本の、荒く纏わせるのをひたすら練習する。

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