第5話 貴族って平民と仲良くなっちゃ駄目でしょ、不公平の温床っすよ!
「やっぱりお館様は素晴らしい」
「ありがとう・・・これで救われます」
「素敵です、お館さま」
等と言われるのは非常に気分が良いですよね。
こういう事言われやすい、異世界テンプレでよくある平民に好意的な貴族さんってあるじゃない。
でもあれ上手いことコネ作れなかった平民にとっては「あいつ上手くやりやがった」「あいつだけ依怙贔屓しやがって」と思われる事でもあります。
そもそも貴族がなんで平民より偉いかってぇと能力とか財力じゃなくて、不平等があっても「貴族だから逆らえないんだ」と平民が納得できる根拠として出てきたもの。
例えば飢饉に陥った領地で、次年度に希望を託すために種籾を残すか、今を生きるために備蓄した種籾を食っちまうか。
治世者としては種籾残すのが正解なんでしょうが、平民と仲良くなったらその選択は無理ですよね。
あるいは飢饉に対応するために被害の少ない所から優先的に作物を徴収する。彼らの生活だって決して豊かではない、しかし徴収しなければならない。
平民と親しくなったらそういう選択が出来なくて、結果的に被害が大きくなったりする。
結局医者と同じでベストを尽くすためには情に引きずられて判断を謝らないようにするために、結局は過度の思い入れを無くす必要がある。領民に対して心理的絶縁が必要。そして平民側も「貴族が言うんだからしょうがない」と苦役=徴兵とかに応じられる。
正直同じ階級だと思ってるなら「俺がなんでやらねばならんのだ、お前がやれ」と全員思うにきまっている。そしてそうなったら結局大局的な対策は全く出来ない。
あるいは領民同士の土地争い。為政者がどっちかに親しかったら裁定自体全く素直に受け取れないでしょう。
階級が違うからしょうがない、というのはマネージを受け入れる側にも利点があるのです。
そういう訳で「別け隔てなく扱う」等という展開は実際の矛盾に満ちた現実の社会としては難しい。公平であるという事は結局誰とも特別に親しくならない、という事。
更に問題はそういうトップが「自分がやっているのが正解かどうかわからない」という事。だってトップなんだからさ。トップは一人だからトップなのであって。
そういう意味でトップ同士でどういう解決策をとっているかを知るのはすっごく重要。だから貴族同士のパーティで情報交換を積極的にせねばならんので、領地に引きこもってーという貴族は先々領地経営は行き詰まる率が高いはず。
いや、もちろん異世界モノは異世界に行くこと自体がご都合主義なんだからそこで目くじら立てるのは野暮以外のもんでもないですが。
このあたりは社会的にどうするか、という手筋なんで色々応用効くっちゃー、効きますよね。恋愛モノ系だと「無慈悲な行いをし、貴族パーティにいそいそと出席する領主が実は領民に心砕いていた」とかその手の手筋。
俺TUEEE系だとあんま使えないですが。
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