63~見出した光~・おまけスキット

~悲しき事故~


ガレ「いやあ、まさかクローテどのに尻尾を掴まれるなんて」

クローテ「ま、まだ痛むか?」

ガレ「いや、びっくりしたでござるなあと」

クローテ「むう……手近に長いものがあったら掴むだろう、あの状況なら」

ガレ「それも然り。仕方のなかったこと」

クローテ「だが……」

ガレ「頑張って、一緒にみんなを探すでござるよ」

クローテ「……ああ」

ガレ「そしたらまず今回のことをみんなに話して……」

クローテ「や、やめろ! お前やっぱり怒ってるだろ!」

ガレ「にゃははー」



~すっかり相棒~


クローテ「いい連携だった。お前がいると安心して戦えるな」

ガレ「それがしも、クローテどのと組むと動きやすいでござるよ」

クローテ「お前も無茶しなくなったしな」

ガレ「そういえば最初はいろいろとぎこちなかったでござるなあ」

クローテ「ああ。詠唱の時間を稼いでくれるのはいいが、なんでもかんでもがむしゃらに突っ込んで、見ていてヒヤヒヤしたぞ」

ガレ「にゃ、にゃはは……」

クローテ「今ならわかるんだろう? どれだけ引き受ければいいのか、どこで退けばいいのか」

ガレ「もちろん。クローテどのも?」

クローテ「長い付き合いになったからな。特にお前とは、いろいろあった」

ガレ「……出会ったばかりのそれがし達に見せてみたいでござるなあ」

クローテ「はは、やめてくれ。私が卒倒しそうだ」

ガレ「本当に……変わりもうした」

クローテ「ふっ、お互い様だろう」



~きっと、もうすぐ~


ガレ「今のは……今、何かを思い出しそうだった……」

クローテ「どうかしたのか?」

ガレ「クローテどのにはちょっと言えない話でござる」

クローテ「私には……?」

ガレ「たぶん、未来のこと。今までなかった記憶が現れたのでござるよ」

クローテ「ああ、そういうことか。それなら確かに話せないな」

ガレ「かたじけない」

クローテ「理由を話してもらえれば理解できることだからな」

ガレ「……」

クローテ「我々の行動がさまざまな変化をもたらして、未来の人間であるお前の記憶に影響を与えているのか」

ガレ「まだ歴史修正が行われていないせいか、にゃんとも不思議な心地……」

クローテ「ガレ、ひとつだけ聞きたい。それは良い記憶だったか?」

ガレ「む、むー……そのくらいなら言っても大丈夫でござるか?」

クローテ「言わないならお前の表情から勝手に読み取る」

ガレ「それでバレたら隠密失格でござるよう!」

クローテ「あははは」



~安心する空気~


ブオル「神子姫の力かあ……断片的だとか言いながら、こうやってちゃんと会えたんだからすごいよなあ」

アングレーズ「毎回こんなにうまくいく訳じゃないのよ。必死の祈りが届いたのね」

ブオル「こんな空間に一人で放り出されたら、そりゃ必死にもなるよな」

アングレーズ「でも、良かったわ。最初に合流するならおじさまがいいと思ったから」

ブオル「ガレとかじゃなくってか?」

アングレーズ「ええ。なんだか安心するわ」

ブオル「ああ、あれか。ゴーレムにフォルムが似てるもんな!」

アングレーズ「えっ?」

ブオル「そりゃ確かに安心するなあ。なるほどなるほど」

アングレーズ「うーん……言われてみるとそうかも?」

ブオル「いやあ、前から妙な親近感があったんだよなあ」

アングレーズ「ふふふ」

ブオル「ん?」

アングレーズ「いえ、やっぱりおじさまで良かったわ。こんな状況で笑えるんだもの」

ブオル「緊張感ないって?」

アングレーズ「安心するの。とても心地よいわ」

ブオル「そっか? そりゃ良かった」



~強く、前へ~


ブオル「アングレーズはずっと、後悔を背に自分を鍛えていたんだな」

アングレーズ「モカちゃんは才能の開花が早かった。ひとつ年下のあたしは、あの頃は何もかもがまだまだだったのよ。だから一緒に行くことはできなかった」

ブオル「今のアングレーズを見ていると、その時はまだたまたま届いていなかっただけみたいだな」

アングレーズ「でもそれが運命を分けたの。残される者と進む者、生と死を」

ブオル「……残酷なもんだな」

アングレーズ「残酷で、皮肉よ。その時弱かったあたしが生き残ったんだから」

ブオル「でも、こうして今は運命を変える戦いに身を投じてる。チビすけとも一緒にな」

アングレーズ「ええ。このチャンスは決して逃さないわ」

ブオル「掴み取ろうぜ」

アングレーズ「当然よ」



~ちょっとだけ~


ブオル「あ、あの、アングレーズ……いくらおまじないだからって、こういうのはオジサンには……」

アングレーズ「あら、嫌だった?」

ブオル「嫌というか……」

アングレーズ「ほっぺにしただけじゃない」

ブオル「だ、だからって……もっと自分を大事にしなさい!」

アングレーズ「してるわよ」

ブオル「いやどこが……あ?」

アングレーズ「どうしたの?」

ブオル「……なんか今、ものすごく呆れられた気がする……カーシスに」

アングレーズ「あらそう。彼の方がわかってるのね」

ブオル「へ?」

アングレーズ「なんでもないわ」

ブオル「? なんだよ、カーシス……教えてくれよっ!」



アングレーズ「……ごめんなさいね、ホイップさん。どうせ何もかもなかったことになるなら……ちょっとだけ、ね?」

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