第9話 謎のコメント!!!!

僕はアパートの部屋に帰った。やっと一息つけるなあ。

 そしてさっき合コンをした居酒屋と同じ1階フロアの婚活パーティー会場で、もらったパンフレットを見ていた。

そして、パンフレットに書いてあった婚活パーティー主催者[torikon]のサイトに登録した。

 僕は婚活パーティーに申し込みしようか迷ったが、まずは高梨先輩に相談することにした。


 スマホに通知が来た。TOINにグルチャグループチャットのメッセが来ていた。


 TOIN 高梨先輩

『今日は楽しかったね!皆よろしく~』


 TOIN 稲本さん

『よろ~♡』


 TOIN 榊原さん

『よろしくです♡』

 桂は頭を下げた可愛らしいよろしくと書かれたスタンプをグルチャグループチャットに送ってきた。

 僕は無料でもらった『よろしく』と書いてあるスタンプを押した。

 なんか婚活って色々やることあって疲れるなあ。

 権蔵の、初恋の人なんて見つけられるんだろうか。


 んっまたスマホに通知が来た。 konstagramにコメントがある。

 初コメントだあ。嬉しいなあ。


 konstagram のコメント

????

『はじめまして。私も昨日そこにいました。私も運命の人を探してます(^-^)』


[mandarinorange0727]という人がコメントしていた。

 0727だと7月27日生まれか…僕と同じ誕生日だな…


「これは、彼女の文章……懐かしい……彼女はこの街に住んでおる!」

 権蔵が僕のスマホを覗いてきていきなり言った。

権蔵何言ってるんだ。

近くにいるから合コンの時に権蔵の初恋の人の声が聞こえたんだろ。


「近くにいることは今日の合コンで分かったじゃないか」

 僕はそう言い、ため息をついた。


「それもそうじゃが違うんじゃ。彼女は昔からここに住んでおる。」

権蔵は慌てて付け足して言った。


「つまり、出身地がここってことか?!」

 僕はそう言ったあと、コメントくれた人の所のkonstagramの投稿を見に行った。

 今日の日付で僕が合コンの時に行ったビルを正面から撮った写真と『頑張る(^-^)』と言う文字しかなかった。

 もしかしたら権蔵の初恋の人の生まれ変わりかもしれない。どうする?

もしスパムかイタズラならブロックした方がいいかな。いや本物の初恋の人の生まれ変わりっぽいしやめておこう。ならメッセージを送るならどうだろうか?でもなんて送ればいいんだろう?


~1時間後~

 1時間悩み抜き、結局『よろしく』とコメントに返信し、僕は謎のコメントの人を、フォローした。


「おまえは本当にヘタレやな!もっと積極的に行かんかい!探す気あんのか!」

 権蔵がマジでキレてる。


 なんでも積極的に行けばいいってもんじゃないんだよ。

「そんなこと言っても下手な事言って嫌われるよりマシだろ?」

僕は権蔵にそう言った。僕の経験上踏み込むのは良くない。


「焦れったいのう。はよう。逢いたいのに……」

 権蔵は遠くを悲しげに眺めていた。


 ~それから1週間後~

「あけましておめでとうございます」

 権蔵が0時丁度に言う。


「あけおめ」

 僕はボソッと一言だけ言った。

改めて言うのはなんか恥ずかしかったからだ。


 合コンやSNS投稿をしてからだいぶ経ったが進展はない。

なんだかんだで権蔵と出会ってから2ヶ月は経ったな。

 1回情報を整理してみよう。

「最初に権蔵が、覚えていたのが[独身]

 2回目給湯室で[彼氏なし]

 3回目食堂で[シフォンケーキの味](ホームベーカリーが作ったような味)

 4回目 合コン会場があるビルのエントランスで権蔵の初恋の人の声が聞こえ、[黒髪]だということを思い出す。

 5回目に[合コンの日にビルの一階にいた人]

 6回目にkonstagramでのコメントで、[出身地がここの近く]

 そして僕の誕生日と同じ[7月27日生まれ?]だ。」

僕は思い出しながら権蔵に説明した。


「誰か該当する人いないんか?その日に必ずいる人とか」

権蔵はイライラしていた。やっぱりハッキリとしたヒントが思い出せず、もどかしいのだろう。

 僕は必死でひとつひとつ思い出す。


「うーむ。シフォンケーキと誕生日を除けば1人該当する人が……」

僕はそう言ったあとで、言ってはいけなかったのではないかと後悔した。


「誰じゃ?」

 権蔵は期待しているみたいだが、絶対にありえない……もしそうだとしたら僕はどうしたらいいんだ……


「今の社長、今猿社長だよ…」

僕はなんとか声を絞り出した。


「あのいけすかない顔だけの男か?!」

 権蔵は今猿社長のことを言うと、露骨に嫌な顔をした。

 あれっもしかして僕は読みを外したかな……


「顔以外もパーフェクトなんだよ!」

「今まで権蔵の初恋の人の生まれ変わりは女性だと思っていた。だけど、男性の場合もありえるんじゃないか。」

僕は自慢げに言った。


「なんと!確かにあやつからは、なにかは感じるぞ」

権蔵も納得したようだ

そうだろ?僕の読みはするどいだろう?


「いつも権蔵が思い出す度に今猿社長がそばにいる。僕の名刺を渡したからSNSは名前で探せるだろうし」

僕が今までの記憶を辿たどりながら言った。

僕はドヤ顔で言った。


 初恋の人の生まれ変わりの可能性があると分かったら急に権蔵は、コロッと態度を変えた。


「今すぐ今猿に連絡せい!」

権蔵がはやし立てる。

おいおい。今正月の深夜だぞ!流石に失礼だよ!


「確証もないのにいきなり今猿社長に連絡なんか出来ないよ!!

 それより桃井さんに社長の誕生日が7月27日か、聞いてみよう!」

 僕はそう言うとため息をついた。いくら個人的に連絡してくださいって言われても、社長だもんなあ。連絡するには敷居が高いよなあ。


 桃井さんは合コンのこと黙っておくという貸しがあるからまだ聞きやすいな。

 早速僕は桃井さんにTOINでメッセージを送った。


 TOIN たちばな

『お久しぶりです。あけましておめでとうございます。たちばなです。社長のお誕生日はいつですか?』


 TOIN 桃井さん

『お久しぶりです!あけましておめでとうございます。なんで知りたいんですか?』


 TOIN たちばな

『前に事故した時助けてもらったのでお礼がしたいんです。』

 病院に運んでくれたのは社長だったみたいだし、嘘じゃないよな…


 TOIN 桃井さん

『わかりました。今猿社長のお誕生日は3月27日です。』


 あっれー7月27日と違うみたいだ……

 konstagramに誕生日入れるとは限らないし、社長とも限らない。

 結局分からずじまいだった。


 TOIN 桃井さん

『なぜ今猿社長ご本人に尋ねないで私に聞いたのですか?』

 うぅ……痛いところを突かれたな……なんて答えよう……??

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