第2話 初恋の人を探して
僕はいつも持っているお守りを握りしめ、念をこめた。
ネットでお祓いの仕方を勉強しててよかったあ。
「そんなことするとおぬしも……
ぎゃああああああああああ」
侍に効いているようだ。
侍はやはり……人間ではない。
しかし侍が浄化する気配はない。
僕まで頭がズキンと痛くなり、すぐに止めた。
「わしに強い未練がある。お守りではワシを消すのは無理じゃ。わしとおまえは一心同体だからの、
侍は半泣きでそう言った。
お守りが効くことは分かったし、害はなさそうだから、とりあえず話を聞いてみよう。
「一心同体ってなんだ? なぜ僕に? 何のために? おまえは何者だ? 」
僕は侍を質問攻めした。
「慌てるな。わしはお前が事故した所の近くに、長きに渡って住んでおった。
ピチピチのギャル
「つまりひいらぎ高校だな?」
あの辺に学校は[ひいらぎ高校]以外にない。僕が通っていた共学の高校だ。
あの高校は古戦場だと聞いたことがある。
男子は
「確かそんな名前じゃった。
お主の諦めながらも、強く強く生きたいという心がわしらを結びつけた。
そして、わしの名は権蔵。実は何者かわからん。名前と一部の記憶しかおぼえてないのじゃ」
侍……いや権蔵は一気に答えた。
そういえばこいつの名前やっと分かったな。
「わしの目的つまり未練はな……初恋の人を探して欲しいんじゃ」
侍が懐かしそうな顔で言った。
「その初恋の人ってどんな人だったの?」
僕も思わず
「身分違いの恋じゃった。わしが武士、そのおなごは農民やった。お互い両思いじゃったが結ばれんかった」
権蔵は悲しそうな顔をした。
「僕はおまえ以外の地縛霊は見えない。つまりその女性の生まれ変わりを探せということか? 」
マンガとかに、よくある展開だな。
「話が早いのう。そうじゃ。そして恋を成就させてくれ」
権蔵は興奮気味に言った。
「成就ってどうやって?生まれ変わりだから相手は覚えていないのに」
僕がそう言うと、権蔵が答えた。
「その生まれ変わりのおなごとおぬしが恋人になればよい。ワシらはもう一心同体じゃ」
おいおい。僕の恋人勝手に決めんのかよ……
「彼女の顔とか名前とかなんかヒントになるものは覚えてるのか?」
まあ話ぐらい聞いてやるか……このまま居座られても困るし……
「うーむ。それが何も思い出せん。今この世におって未婚ということしかわからん。わしとの思い出が影響し結婚はしておらぬだろう」
地球上には、何億も女性がいるんだぞ!
もしかしたら地球人じゃないかもしれないし……
「どうやって探すんだよ!」
僕は思わず叫んだ。
「とにかくたっっっくさんのおなごと会って話すのじゃ!そうすれば思い出すだろう」
また気が遠くなるようなことを権蔵は言う。
「そんなに女性に出会って話せたら僕も困ってないんだよ」
30年過ごしてて恋人の1人も出来たことないんだよ!たくさんの女性と出会って探してなんて無理に決まってるだろ…
「わかっておる。30年間今まで恋人ができたことなし女の子には奥手でよく喋らん。男とばっかりつるんでる。」
なんで言ってないのに僕のことわかるんだよ!
「引き受けてくれるか?」
僕はそう権蔵に言われて即答した。
「やだ!!めんどくさい!」
権蔵が予想外だったのかギョッとしている。
「えー!出会いがないなら今流行りの
何で今の流行りを権蔵が知ってるんだよ!
「
僕は溜息をつきながら言う。
「もし初恋の人を見つけて恋を成就させてくれたらお主に大きな幸せを与えてやる」
権蔵がそう言った。大きな幸せって曖昧だな。
いっそ何億くれるとかモテモテになるとか具体的な方がいい。
「大きな幸せって?」
権蔵は、なんて答えるだろう?
「お主が一番欲しいものを与えよう」
また曖昧なことを言う権蔵。
「おまえは記憶もないし神様でもないのにそんなことできるの?」
すると、権蔵はドヤ顔で言う。
「わしはこれでも特殊な力を持ってるんじゃ。今のおぬしの悩みは《会社が倒産したらどうしよう》だろう?噂だけで落ち込むのはどうかと思うが」
ちょっと一言多いな。ムカッときた僕は権蔵を挑発してみた。
「一心同体だから分かるんだろう?特殊な力があるなら試しに見せてくれないと」
どうせ無理だろう?
「良かろう。明日会社が倒産しなかったら絶対初恋の人を探せよ」
権蔵は自信満々に言い放った。
「いいよ。倒産しなかったら
さっきネットニュースでうちの会社がヤバいって出たから無理だろうけどな。倒産してしまったら婚活ではなく、また就活しないとな…
~翌日~
会社につくと騒がしい。
やはり倒産してしまったのか。
社員の緊急集会が開かれた。
いよいよ終わりだ……
僕はこの世の終わりみたいな顔をしていた。
すると、自信満々に権蔵は言う。
「何をしけた顔をしておる。倒産は絶対しない」
社員全員が集まり、いよいよ緊急集会が始まる。社長が
権蔵の言う通り倒産しないのか?果たしてどうなるのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます