21話 式神 マシロ



修行を終えた俺たちは帰路についた。

…帰路つっても、そこらへんにある屋根だけど。

今さらなんだが、家やビルの屋根をぴょんぴょん跳ねるのって、結構怖いんだよなぁ……。


……え?人に見られないのかって?皆スマホいじってるから思ってる以上に見られないんだよなぁ。スマホ万歳だぜ!

もちろん、師匠は先にさっさと帰っちまったけど。



---


そして、現在8時。リビングにて



「さあ、この3つの刀から好きなの1つ選べ」

「……いやポ◯モンの『最初の3匹』かよ?!」

「お?その例えはうまいな」

「いや共感されても困るんだけど?!」


本当にこの人はツッコミ製造機かよ…。

それにしてもこの刀……。マナのオーラがすげぇなぁ……。それぞれ左から緑、赤、青……って本当にポ◯モンみたいだなおい!


「この刀はそれぞれ式神がマナによって組み込まれている。だからその式神のオーラが出ているのだろう」

「へぇ…式神ってあの陰陽師とかの……」

「そうだ、これは書物に書いてあったやつの応用だな。」

「マナって何でも有りなんだなぁ…」


それにしても、式神ってどんななんだろう。悪魔とはどうやら違うっぽいしなぁ。


「式神は人間に忠誠を誓った悪魔だ。本来悪魔なんて黒い塊みたいのが多いが、そうじゃない形あるやつらはここに組み込まれている『式神』と『魔物』と別称がある。まぁわかると思うが『魔物』は悪いやつらだ」

「うん、大体わかったけどなんでもっと早く言わないの?!」

「そんないっぺんに言っても覚えられないだろ?」

「た、確かに……」


納得せざるを得ないな……。


「まぁ、そういうことだ。ちなみに私のも式神が組み込まれている。どんな奴かは知らないがな。その3つの式神も知らん」

「知らなくて良いのかよ…」

「知らなくても生きていける」

「妙な説得力!」


現に生きて俺の前に座っているわけだし。

それにしても刀かぁ……!カッコいいなぁ!これで悪魔を倒すのか!本当ジャンプ漫画みたいな展開になってきたな!


「さぁ、3体の内から好きなポ◯モンを一体選ぶのじゃ!」

「いや、ポ◯モン言うてるし!てか博士かっ!あと、何その急なボケ?!」


はぁー、はぁー……。まさか、ツッコミで息切れする日が来ようとは……!

ますます師匠が分からなくなってきたんですけど。

とりあえず、刀どれにしよう!

俺がポ◯モンやる時は大体、水属性だからなぁ。まぁ、直感に従ってここは青色にするか!


「お?お前さんは『凍』を選ぶんじゃな?」

「まだそれやるか!てかなに?とう……?」

「あぁ、それぞれに名前がついてる。お前が手に取ろうとした奴は『凍』。赤い奴が『焔』(ほむら)。緑の奴が『樹』(じゅ)だ。名前聞けば分かると思うが凍らせたり、燃やしたり、……樹木で攻撃するという特殊能力が備わっている。」

「おい、樹の奴がわからなかったんだろ?そうなんだろ?」

「まぁ、どれでも良いと思うぞ?マナを注げば大した差にならないしな」


スルーですか。まぁいいけど。

そういえば、師匠のはどんな刀なんだろう。


「私のは『斬』だ。」

「あぁ、なんとなくそんな感じしますわぁ」


まぁ、流石に人間とマナの力だけじゃあ、あそこまで早く木を切れないよな。しかも、千切り……。

ええぃ!もう面倒くさい!これでいいや!


「……これは『凍』か!」


目を開けて、手に取った刀を確認した瞬間。

刀が青く光り出した。


「うおぉおお!なんだなんだ?!」

「これは一体……?」


俺達は腕全体で光を遮断する。そのぐらいの発光量だった。

光が消えたかと思ったら、今度は後ろにあるテレビの前に人らしき気配がした。


「誰だ!!」


俺は持ち前の危険察知能力のおかげでそいつの存在を確認できた。


「やぁ!『凍』の中にいた式神、雪女のマシロだよ!よろしくね、マスター!」

「「………え?」」


俺は振り向きながら、師匠は日常的に腰に提げてる刀に手をかけながら、呆けていた。


ていうか、師匠とのシンクロ率高いな…。



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