3話 悪魔 前編
「「私は忍者だ。正確に言うと、くノ一だ」」
……こいつ、ヤベェ奴じゃね…?
「「私はヤバくなどないぞ?確かに私は今はこのような格好……っておい!!どこへ行く?!」」
気づいた時には俺は、その場から全力で逃げだしていた。
「な、なんなんだ…あいつは!?」
あいつ……俺の心を読みやがるし、俺の危険察知能力でも反応しないほどの存在感……。いや、正直俺は他の人よりもそういう野生的な部分では断然強いと思ってたんだが…。畜生、あいつまじでくノ一なのか…?てか、くノ一って心読めんのかよ!
「「ああ、これは私の師匠から教わった力でな、人の顔を見れば何を考えてるのかわかるように…」」
「ギャャャャャャやあああ!!!」
あいつ、足速くね…?しかも、また俺の心読みやがった…!……こいつ、化け物だ……!
そう思った時、俺は服の襟をまるで猫のように掴まれ、宙に浮いていた。
「「おい、待て、落ち着け。私の話を聞け。」」
「…………」
あまりの声調の変わりように俺は黙ってしまった。
……こえぇぇえ…!
「「いいか?よく聞け。私は、化け物ではない。それは本当にわかってほしい…!」
「は、はいっ…!」
思わず、敬語を使ってしまった…。まぁ、使っといた方がいいかもしれない。
「「敬語はいい。お前とは同い年だ。てか、そろそろ学習しろ。お前は特に顔にでるからな」」
「あ、同い年なんだ。てか、なんで知ってんだよ?!」
「「思ったことを口にしては意味ないだろ。それは私が忍だからな。情報収集は忍の基本だ。」」
「言われてみれば、確かに…!」
「「まぁいい。それにお前にはちゃんと用があってここにきた」」
「へ?」
なんだろう…めっちゃ嫌な予感しかしない……。
「「……お前は感情の起伏が激しいんだな…」
「そんなことはどうでもいいから用ってなんだよ?!」
「「お前に取り憑いている悪魔を殺してやる」」
「はっ…?」
俺は今までそれなりに不幸と対峙していたし、多少のことではあまり驚かないが、このくノ一が現れた時から驚きのオンパレードで少々疲れたのかもしれない。
……この人悪魔が取り憑いてるとかどうこう言っていたような気がするんですけど、え、ちょっと怖いんですけど…?
「「ああ、言った。そして、そいつを殺すために私はお前の前に現れた。本当は一般人の前にこの格好で現れてはいけないのだがな……」」
「……あ、そうですか。お疲れ様です。あの僕そろそろバイトなので、下ろしてくれませんか?」
「「あぁ、そうですか。で下ろすと思ってんのか?ていうか顔を見れば分かるって何度言えば分かるんだ、お前は?」」
「ちっ……!」
「「……もう話が進まないから強硬手段に出させてもらう……!」」
「ッ……!?」
襟元を離した瞬間、鼓動が激しくなった。そしてものすごい頭痛に襲われる。
「ッぁぁあああああああ!!!」
「「安心しろ……。すぐ楽にしてやる…!いくぞっ……!!」」
俺が見えたのはここまでだった。あのくノ一が背負っていた刀(?)が急に光だすところまで。その後俺はどうやら気絶してしまったようだ…。
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