2話 謎すぎるくノ一現る
時間帯は夕日が沈みかけていて、仕事や学校が終わった人たちが目立つ。そんな時間帯、俺、高島浩介も通行人同様に学校が終わって帰宅中だった。
「はぁ〜……委員会まじで疲れたぁ…。図書委員って楽なイメージだったのになぁ…」
そう、俺は今、図書委員に入っているのだ。
確かに、他の高校の図書委員よりは重労働かもしれないが、それでも俺は今の図書委員に満足している。
「でも、放課後に委員会活動をするって…普通だな!!♪」
なぜ最後に♪をつけたの……?って言いたくなるかもしれない。
……それは、俺が普通を追い求めていたからだ!
「やっとここまできたぜ!!俺の普通ライフゥゥうう!!」
……叫んでから気づいたけど俺、帰宅中だった……。
けどそんぐらい嬉しいんだよぅ!!
幸いなことに、回りに人はいなかった。
「よく考えるとこの2ヶ月、特に音沙汰がないな……よし!この調子でいけば一生普通ライフだぜ!」
何事もポジティブに考えよう!そう幼稚園の頃、先生が言っていたな…..、今ならあの意味が少しわかる気がするぞ…!
おっと、まずなんで俺がこんな普通を望んでいるのか、とかこんな普通に憧れているのか皆に話さないとな……。
俺は小学校一年生の時に交通事故で両親を亡くしている。一人っ子の俺は兄弟がたくさんいる方がいいだろう、ということで親戚の話合いで、母親の妹の家族に引き取られた。最初は嫌悪な目で見られるかと思ったが、みんなから温かく歓迎された。その時の事は今になっても忘れはしない。本当に良い家族で良かった。
これから新しいスタートを切っていこうと思ったのも束の間、そこからだった…。俺の不幸生活は……。
例えば、何もない上空からタライが落ちてきたり、授業中に板書をしようと顔をあげたらシャーペンが超回転で眉間めがけて飛んできたり………ここまで、当たっても命に別状はないが、大怪我になるぐらいで済んだ。
……もちろん全部避けたよ?てか「ぐらい」って表現してる時点で俺も随分とこの不幸に慣れたもんだよなぁ……話を戻そう…。
しかし、中学生になるとその不幸がエスカレートしていき、登校中にいきなり軽トラックが突進してきたりと、これが入学式から毎日のように続いており、もちろん下校中にも軽トラックが突進してきた。しかし、翌日になると大惨事になっていてもおかしくない現場が何もなかったように元通りになっていた。ここまで来ると友達から鈍感と言われている俺でも流石に違和感を感じた。……昔の俺に言いたい…何で小学生の時は何も感じなかったのかと…。また話が逸れてしまった、申し訳ない。そしてなぜか、高校に入ってから不思議とその不幸がパタリと止んだのだ。誰かが不幸を止めているかのように….。
……これフラグかな…?まぁそれならそれで嬉しい話だけどな!止めている人、頑張ってくれたまえ!
まぁ、そういった感じで俺は波瀾万丈な生い立ちなわけなんですよ!両親は死んじまうし、外に出ると不幸なことが起きるし……あ、そうそう、家だと何故か不幸が起きないんだよなぁ…。…はっ!これは両親が天国からせめて家だけでもと守ってくれてるのかもしれない……!ありがとう、お母さん!お父さん…!おかげさまで元気にやってるよ!これからも見守っててね!
「「…そんなわけないだろ」」
そんな事を考えてたら、後ろから俺の心を読んだかのように声がした。
「……エッ?」
振り向くとそこには、さながら名探◯コ◯ンに出てくる犯人のような格好をした人が立っていた。
「「いや違う。そういう風に見えるかもしれんが違う」」
「ぅえっ!?」
今度は完全に俺の心を読んだ…!?てか、よく見たらこいつ後ろに刀背負ってるじゃねぇか…!?
「「…まぁ、いい」」
一呼吸おいて、その人は、、
「「私は忍者だ。正確に言うとくノ一だ」」
そんな馬鹿なことを言ってきた。
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