その16

様々出た意見を総合して、 今年の文芸部でやることが決まった。


「ネット小説投稿サイトに小説を投稿します。映像化の企画書とウチの文芸部のスタッフプロモーション付きで」


わたしは声高らかに宣言した。

さらに詳細を詰めていく。


「小説は一応1人一作全員が投稿します。長編でも短編でもOK。そして、それぞれの小説にみんなで分担して映像化のための企画書を作って添付します。企画書のパワポレイアウト担当は谷くん」

「はい」

「谷くんは各自の小説の内容を把握してパワポで概要からPRの文章までを考えて作成してください。それから、イラストは手塚さん」

「はい」

「大変だとは思うけど、季刊誌の表紙とか挿絵を描いてくれた時のあの画風で。とても素敵だと思うから。ほんっとに負担だとは思うけど、キャラデザインもお願いね。それから営業スタッフは2年生ふたり」

「はい」

「ツイッターでみんなの小説をツイートしたり、あと、妄想で監督やキャスティングを考えて架空のプロモーション画像を流したり。で、ユズくんはみんなの小説のスーパーバイザーね」

「はい」

「ユズくんは一年生ながら読んだ小説の量は圧倒的。推敲だけじゃなく、プロットの段階からみんなの相談に乗ってあげて。場合によってはテーマをユズくんが考えて上げるのもあり。最後にユズちゃんは音楽担当ね」

「はい」

「フリーの曲を探す、っていう意味じゃないよ。ユズちゃんが曲作って演奏してね」

「あの・・・わたしは好きだから全然構わないんですけど、いいんですか? わたしの音楽って、クセありますよ」

「だからいいのよ。ピアノはいつから?」

「4歳の時からです」

「使ってる作曲ソフトは?」

「一応、オーケストラもできるぐらいの音源があって結構本格的なやつです」

「ジャンルは任せるね。みんなの小説にユズちゃんが得た直感でいいから。ロックでもクラシックでも。で、それを小説と合わせてネットにアップしていくから。場合によってはヴォーカルつけてもいいよ」

「はい。頑張ります」

「まあ、わたしら3年生は受験とはいいながら、大学行っても文学やりたいって全員思ってるから、それなりに気合い入れるね。谷くんも手塚さんもいい?」

「もちろん」

「ユズル部長に続け、ね」

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