第2話

頭にタオルを巻きつけ、蛇口をひねる。

人肌温度のお湯を溜める間に

洗顔フォームをたっぷり泡だて、

そっと、顔にのせる。

「摩擦が老化の大、大、大敵なの❗️」

ヒステリックなあの声が頭の中をよぎる。

美容専門学校にいた、真島女史のお言葉。

それを約、2年間聞いて過ごした。

通称、紅白まんじゅう。

黒髪を夜会巻きにし、一年中

真っ赤な口紅。長めのつけまつげ。

真っ赤な付け爪。白いブラウスと

黒のロングプリーツスカート、

黒の7センチピンヒール。

その上から、何故か

白衣を羽織っていた。

眉毛はヘップバーンもどきな細眉で、

体型ときたら、

某、未来からやってきた、

青い猫型ロボット

を彷彿させた。

しかも、45歳、独身であった。

おまけに香水の匂いが恐ろしく強く、

半径10メートル

以内に入ると、みんな気づいて、

話を止めるほどだった。

高校卒業して

初めて、専門学校の入学式で

会場に入場する真島女史を見た時、

見えてはいけないものを

見てしまったと震え上がった。

自分には霊感があったんだ、

他の人には見えてるのか?と怖くなり、

「ねぇねぇ、あなたにも見えてるよね?!」

と、隣に座ってた佐々木奈々恵に

聞いてしまった。

この件がきっかけで、奈々恵とは大の仲良しになれたのだから、ある意味真島女史に

感謝しないといけないのかもしれない。

真島女史は

紅白まんじゅうと言われるほど

恐ろしく、白い肌の持ち主だったのだ。

ふくよかな二重顎もプリプリで

見ただけで、水分量がたっぷりだと

分かる様だった。いくら覗き混んでも

シワやシミも分からない、美肌の持ち主。

ただ、目や鼻はこじんまりしていて

顔の肉に埋もれた様で、お世辞にも

美人とはかけ離れた顔だった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る