Boogie-woogie
まずは一回目。
私の家にいる動物を紹介しようと思う。
カメが二匹いる。
ミドリガメとイシガメ(クサガメ?)である。
かわいい。
ミドリガメはもうかれこれ二十年以上生きている。
もう一匹は三、四年若い。
水槽で飼うには窮屈なので、(というより、このサイズのカメを飼う水槽など高い上に扱いづらそうで買う気になれない。掃除とかどうするんだ)衣類を収納する大きめのボックスに砂利を敷き詰めて飼っている。
そして、ネコが二匹。
キジトラと白猫である。
かわいい。
キジトラはメス、白猫はオスだ。
二匹の仲は良好とは言い難いが、たまに二匹並んで寝ていることもある。
かわいい。
今回はキジトラの話をしよう。
このネコは肥満児である。
我が家は庭付きの一軒家であるが、家の方針で極力ネコを外に出さないようにしているので、自然、運動不足に陥りやすい。
ネコは可愛いのでみなで可愛がっていると、こやつはその愛情を糧に、ぷくぷくと太っていった。
気づいた頃には時既に遅し。歩けば腹の肉は地面すれすれ、寝転がる姿は毛皮の絨毯、ネコタワーから飛び降りるさまは最早フライングボディープレス。
餌は当然ダイエットメニューに差し替えられたが、獣医によれば、避妊手術をしたメスは太りやすく、一度太ったネコを痩せさせるのは困難窮まるとの由。
みなどうしたものかと悩みはしたものの、しかし残念なことに、このネコ、太っていてもかわいい。
寧ろ愛嬌が増した感さえある。
これでは痩せさせようという気も削がれるというもの。
そして何より、腹の触り具合が最高なのだ。
想像してほしい。たぷたぷと中身の詰まった柔らかな肉の上に、ふっかふかの毛皮が乗っているのだ。
撫でているだけで時を忘れる。
朝の出勤前に足元に甘えられた時には、リアルに遅刻寸前の憂き目を見た。
「あの、……すみません、ネコが甘えてきて」
などと上司に言えるわけもない。
私はその日、ありもしない交通渋滞をでっちあげた。
私は帰宅後、「おいおい、お前のせいで遅刻するところだったよ」などと言いながら、ストーブの前で寝転がるキジトラの腹を撫で回すのだった。
ごろごろと喉を鳴らすネコに気をよくした私は、東京ブギウギの曲に乗せて(分からない方はクリアアサヒのCMを思い出して頂ければよい)口ずさむ。
「お腹ふかふか、揺れてぷるぷる、ネコのお腹はたぷたぷ~♪」
……ひっかかれた。
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