終わる世界でやさしくなれたら

楠木黒猫きな粉

第1話 やさしくなりたい人達は

きっと僕は間違えたんだ。選択を間違えたんだ。

当たり前だ。だって僕は優しくなれなかった。僕は優しさを知らなかった。

誰かの為にナニカをするのが優しさならきっとこの出来事は優しさだ。

世界が終わる。突拍子もなく現実的でもなくあり得ない事だけど世界は終わる。

続かない世界で僕は知らない優しさを想う。

それを救いだと優しさだと信じながら僕は想いを馳せる。

だから僕はサヨナラを告げる。馬鹿みたいな宣言で笑われながら世界の終わりを宣言する。

きっと正義からしたら僕は悪だろう。けれど僕は信じている。この終わりを優しさだと信じている。

誰かを想う誰かになれたのなら、僕が歩いた人生は優しい物だったのだろうか。誰かを信じる誰かになれたら僕はこんな終わりを宣言する事は無かったのだろうか。

まぁ、そんなことを考えたところで意味はない。終わるのだからこんな心傷は無駄だろう。

さぁ、朝日は登った。僕が望んだ優しさを始めよう。

五年前に壊れた僕のありったけの優しさをこの終わりにこめて僕は叫ぶ。


───サヨナラを叫ぶ

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終わる世界でやさしくなれたら 楠木黒猫きな粉 @sepuroeleven

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