中略と侵略
すべては前略。
話すことはない……
「…けど話してくれだなんて彼女も大層なこった。彼女はああ見えても人間出身なんだぜ?やべえだろ、そりゃ。しかしなんだ、ケイジとかいう職を長いことやってたからそりゃあうちのゴトもかなり減っちまって助かるもんだから。ええと…何の話だったかね?ああ、かそうそう……」
「…とかく、地球が四角くなった時にゃあ俺でも驚いたもんさ。あ、因みに宇宙を黒くしたのは紛れなく俺だからね。い?俺が誰かだって?俺は延熹のじっちゃんとこの3番弟子のネギだよ。うん、まあね。えっと、おおーっと……」
頭に龍の頭を乗っけた男は笑いながら話をすすめている。長いこと、こんな感じだ。こりゃあ前略も必要と思う。うん、かなり思う。世の中腐ったみかん箱だという奴が腐っているがしかしそう思う奴も腐ってるから。皆んな腐ってるのだろう。うむ、きっとそうに違いない。そう思うとなんだかZingと来るものがある。
太陽に背を向けて立つ山肌には30000000の隕石が落ちて地球を救った。そりゃあ凄かったさ、生きとしイケるもんがね。凄かった。そんときね、事件が起きたのさ。
佐川利はムッとして机にぶちまけられたカツ丼を睨む。
「美味いもんが食えると思ったのに!!」
頼りない机を挟んで向き合っている男は天狗なのか、いや天狗である。
「じゃあ、これを食え」
天狗は赤がなんたるかを教えてくれそうな腕でどんぶりを佐川利の頭に投げつけた。
鯨飯…それは不味い。
「きっと佐川利は死ぬ前になるとこう言うぜ、コンパス定規忘れんなってな」
佐川利が死んだのか、いや私らにとっちゃどうでもいい。問題なのは佐川利の名前が洋太郎でも無かったことだ。
「天狗にさえ嘘をつくとは、君は素晴らしい気質を持っているね。佐川利 くん」
BGM〜♪
きっと悲しい、悲壮の漂う潮風のような調律。
fin,
まあ、予め書いてはいたが。中略というのはなんともはや、雑になる。これぢゃあ一晩中このお話が面白くなるように祈った馬の骨の骨折が報われない。さも、報われない。
輝きを放つ記者の列が円盤を作り、メディアに流すネタで出来上がった劔をいたる場所に突き立てて遊んでいる。ああ、こりゃ情報化社会の侵略が始まったのね。
ティラノサウルスは欠伸しながらタクシーに腰掛ける。
「もう隕石とか、侵略とか絶滅とかこりごりなんだよな。まったく」
イントロBGMは宇宙が誕生する瞬間のように大きく!壮大に!美しく!
映画監督は唸っている。
何を言ってるんだ?宇宙の誕生ほど面白味のなかった絵は無いってのに、人間て馬鹿なのかな?いや、そんなはずはないよね。だって戦争するじゃない?
問題があれば、書き直しますよ。そりゃ何回だってね。
「いながずはいなれ売」
「だからもう終わりにしようって言ったのに、バグが起きちゃって。お嬢さんが張り切るからですよ〜」
「佐川利くん、あなたには事件について聞いておかないといけないことがいくつもある」
「何言ってるんですかあ?刑事じゃあるまいし」
渋谷のファミレスの客はどうやら減ってきているらしい、とても静かだ。
ありゃりゃ、続いちゃうの?やめてよ、全く。
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