第三十一話 淑女と紳士の心得
注R15!:二人ラブラブイチャイチャします。苦手な方はご注意ください。
******
アメリにやっと求婚を受け入れてもらえたリュックは立ち上がり、怪我に障らないよう彼女を軽く抱きしめた。そして涙目になっているアメリにキスをした。段々とキスは深まっていき、アメリの背に添えられていたリュックの手は下へ前へと移動しようとするが、彼は辛うじてその手を止めた。
「はぁ、ゴメン。俺もう我慢の限界」
結局はアメリの両肩に手を置き、体を離した。アメリは熱っぽい視線で彼を見上げる。
「ここは神様の前だからいくら何でも……じゃあこっちへ来て」
彼女は松葉杖を拾い、教会の隣の離れにリュックを案内した。ジェラール牧師が休憩室兼物置に使っている小屋である。二人で中に入るとアメリは内側から
(わざわざここ南部まで来てくれて、あんな顔させるくらいなら……いっそはしたないと思われても構わないわ)
「そこの長椅子にどうぞ腰かけて?」
リュックをそこに座らせるとその正面にアメリは
「あっ、アメリ。何を、ちょ、ちょっと……そこは、あっ……ダメ……」
************
満たされた気分のリュックはアメリの髪を優しくなでていた。
「あのさ、お前どこでこんなこと覚えたのか聞いてもいい?」
「えっ、もしかして痛かった? 気持ち良くなかった?」
自分の両太腿の間から上目遣いに困ったように聞いてくるアメリに、リュックの劣情は再びむくむくと湧き上がってきた。
「いや、そうじゃなくて、その逆っていうか……」
「ああ、良かったわ。『淑女と紳士の心得』の第一章に書いてあった通りにしてみたのだけど、私ちゃんと出来ていたのね」
「な、何だよそれ」
「医療塔に居る時にね、退屈だろうって色々本を貸してもらったのよ。その中に紛れて入っていたのがその本。題名からして礼儀作法の本だと思ったから中を開いてびっくりよ。挿絵もたくさんあってね。後学のためにちゃんと読んでおいて正解だったわ」
「そんな本、誰に借りたんだよ!」
リュックは脱力して呆れた。
「王妃さま。言っておくけど淫らな内容の本だけじゃないわよ、借りたのは」
ここでジェレミーの名前を出すのは止めておいた。
(王妃さま、ごめんなさい。でもジェレミーさまは王妃さまの本だっておっしゃっていたから、嘘ではないですよね)
「あのね、第一章は女性の純潔を損なわないで楽しむ方法、第二章は基本的には何でもありで、女性が
リュックは脱力感にみまわれ、がっくりと肩を落とした。
「王妃さま、そんな本何処で入手されたんだよ……ちょっとこの国の将来が心配になってきた」
「まあいいじゃない、今はそんな心配しなくても」
その言葉にリュックはニヤッと不敵に笑い、アメリを自分の隣に座らせた。
「そうだな。じゃあ、これから攻守交替ね」
そして彼女のドレスのボタンを外し始めた。
「えっ、リュック、ちょっと、あの……あ、やぁん……」
「安心しろ。第一章の範囲内に留めておくから」
************
今度はアメリも満たされ、二人は長椅子の上で抱き合っていた。
「南部まで来るのが遅くなってごめん。新しい職場だし、年末年始は同僚たちが既に休みをいれていたからね」
「遠いのにここまで来てくれてありがとう。公爵夫妻に私の居場所を聞いたのね」
「夫妻というより、ビアンカさんの方にね。あの人、何でもお見通しみたいだったなぁ。とにかく、また会えて良かった」
リュックはそう言ってアメリの額に口付けた。
「もう何処へも逃げるなよ。まあでも、お前のその意地っ張りなところも好きだけど」
「うん」
「逆境に負けずに健気に頑張っているところも好きだ」
「うん」
「昔からお前には俺の剣の振り方だけで、その日の調子がバレてしまうのも悔しいけど好きだ」
「うん」
「お前の怒り顔や泣き顔も可愛くて、実は好きだ。でも一番いいのは笑顔だけど」
「うん」
「人のために勇気ある行動がとれるところも好きだ」
「うん」
リュックは彼女の乱れたドレスから覗く背中の傷に軽くキスをした。
「これは俺と王太子のこと、体を張って守った名誉の勲章だよ」
その言葉にアメリは泣きそうになった。が、リュックはニヤニヤと笑って続けた。
「この短くなった髪も可愛い。さっきさ、毛先が俺の太股を撫でてくすぐったくてゾクゾクする感じもなかなか良かった」
「う、うん?」
「お前の豊満な胸も、その感度の良い……」
「な、な、何言ってるのよ! ちょっと止めて! もういいから、それ以上言わないで!」
「そうやって、照れるところも好きだよ」
「もう、リュックのバカァ!」
アメリはリュックの胸板を軽く叩いた。
***ひとこと***
失礼しました。後にも先にもこれ以上きわどいことは書きません、というか書けません。
この辺りから「リュックのバカァ!」がアメリの口から頻発します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます