今回も、過不足のない文章を泳ぐように、末行までたどり着きました。
アメリさんの生い立ちを淡々となることなく、説明調となることもなく、楽しめる文章でした。
「一人毒づいた」など、的確な表現と感じました。これまでたくさんの文章を読んでいらしたのだろうと想像できます。
また、頑固老人もうまく表現されていました。
特にそう感じたのが「留年したことに立腹していた」とあった部分です。
なぜ立腹したのか? それは、こんなかわいい孫への教育を父親が怠っていたからと、老人が受け取ったからです。立腹は孫がかわいいの裏返しだったんですね。
素直に孫を溺愛できない頑固老人を、間接的にうまく表現していると思いました。
その辺りで済むのかな? と思っていましたが、茶封筒が出てきました。直接的に読者にアピールしてきたんだなと思いました。
チラッと間接的に見せておいて、直接的にもってくる。これも、うまい手法です。
分かりやすい文章につながります。
これで、どんな読者も、この頑固老人を飲み込めたのだろう、と思いました。
最後に亡くなったお父さん。
祖父の所へ身を寄せたらどうかとアメリさんに提案しています。ちゃんと、相談しているんです。一人で決めていません。
この子供を尊重する態度に理想の父親像を見ました。
亡くすには惜しい人でした。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
アメリも子供時代からたくさん苦労しています。特にお父さんとお兄さんを亡くすところは作者の私もやりきれない思いでした。敢えてアメリの感情などは書かずにさらっと起こった出来事を並べるだけに留めました。
祖父のデジャルダン子爵はアメリの家族の中では一番の常識人です。頑固で愛情表現が下手なおじいさんですが、アメリもそれはちゃんと分かっているのです。少々夢見がちな父親と快楽主義の母親の間に生まれた彼女ですが、性格は祖父似で二人とも意地っ張りでなかなか素直になれません。
アメリのお父さんとお兄さん、さぞ無念だったことでしょう。でも彼らはいつまでもアメリの心の中で生き続けています。
アメリの家族が1と4で出てこなかったのは無くなってたからなんですね。
作者からの返信
まんじさま、第二作「貴方の隣」も読み始めて下さりありがとうございます!
アメリの家族はお祖父さんのデジャルダン子爵と再婚した母親テリエン伯爵夫人がいますが、他のシリーズ作には確かにあまり出てきていませんね。
作者としてはお父さんのミシェルさん、幼い娘を一人残して逝くのはさぞ無念だったことと思います。お兄さんのフェリックスさんも若くして亡くなってしまい、書くのが苦しかったです。