10日目Extra

「いなくなったわね。夢から覚めてくれてよかったわ、裕司くん。メイ、起きなさい?」

「ん……姉、さん……」

 杖の石突で体を貫かれたはずのメイは、しかし何事もなかったかのようにむくりと起き上がった。

「姉さん、一体どうしてこんなこと……」

「”荒療治”、っていうものかしら」

「”荒療治”?」

「こうでもしなければ、メイは望まずして裕司くんを苦しめちゃうから。夢の中だけではなくなるけれどね」

「えっ?」

「ふふふ、裕司くんの誕生日まで後一週間よ。驚かせてあげなさい、メイ」

「ど、どういう意味? 姉さんだけで納得しないで!」

 メイが抗議の声を上げると、メアは唐突にメイを抱擁した。

「ごめんなさい、メイ」

「え? ね、姉さん?」

「貴女と裕司くんに辛い思いをさせてごめんなさい」

「あ、それは……そうだけど……むぅ」

「どうしたの、メイ?」

「姉さんはずるいよ……。裕司くんに憎まれたって構わない、なんて表情で、なにごともないようにやりたいことをやっちゃってさ……」

「うふふ、生まれついての性分なの」

「いいなー、羨ましいなー」

 再び姉妹としての仲を取り戻した二人は、いつまでもいつまでも語り明かした。

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