15歳の誕生日

 ぼくは15歳の誕生日を迎えた。けど、プレゼントが貰えること以外、特に嬉しくはない。

 メイちゃんがいないからだ。

 あの日以来、ぼくはメイちゃんと会っていない……。


     *


 家の前に着いた。

 ぼくはガチャリと玄関のドアを開け、そして自室に入った。

「ただいまー」


「おかえりー」


 あれ? 今メイちゃんの声が聞こえた気が……。

「メ、メイちゃん?」

「そうだよ? どうしたの?」

「ほ、本当に?」

「本当だよ! えいっ!」

 メイちゃんがぼくに抱きついてきた。あ、あったかい……。

 ちゃんと足も付いてるあたり、本物っぽいや。

「どうして?」

「姉さんのおかげ。裕司くんがいなくなった後、姉さんが私を、この世界で生きられるようにしてくれたの。そうでしょ、姉さん?」

「そうよ、メイ」

 いつの間にかいたメアさんが、微笑んでいた。

「だから、これからはいつでも一緒よ。メイ、それに裕司くん」

「はーい」

「は、はい……!」

 良かった。ちゃんとメイちゃんは生きていた。

 それがわかった途端、ぼくの心に温かさが戻ってきたんだ。

「それじゃあ、裕司くん」

「ハッピーバースデー!」

 ああ、こんな素晴らしい姉妹と、生きることが出来るのか。夢だけじゃなく、現実で。

 ぼくは幸せものだ。


 不思議な夢で会った少女は、やがて現実で命を得――共に過ごすことが、できましたとさ。

 これでぼくの、小さい頃の話はおしまい。

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