10日目3/4

「メイちゃん!」

 ぼくは居ても立っても居られず、メイちゃんの元に駆け寄る。

「うわっ!?」

 メイちゃんのところまであと少しというところで、急に足元が不安定になる。

 バランスを崩してまっさかさまかと思ったとき、急に体がふわふわしたものに包まれた。

 これ……綿?

「ダメよ裕司くん。邪魔しないで頂戴」

 メ……メアさん? こんなことをしたのはメアさんしかいない。

 けど……何で?

「何でだよ!? 何でメアさんは、ぼく達を引き裂こうとするの!?」

 心の中で呟いたはずの言葉は、怒声となってぼくの口から飛び出した。


 その瞬間、足首から先の感覚が無くなった。


 見てみると、地面から伸びた土が、ぼくの足先をロックしていた。

 メアさんだ。どうしてそう言えるのかって? メアさんの杖の宝石が、輝いていたからだ。

「何でかって? そうしないと、裕司くんが死ぬからよ」

「……」

 ぼくはメアさんを信じられなかった。

「言っておくけれど、二人を引き裂くつもりは無いのよ? ただ、メイが裕司くんへの接し方を間違っているの。それを正しに来たのよ、私は」

 ごめんなさい、メアさん。

 ぼく、メアさんの言ってる言葉が、理解できなくなりました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る