8日目3/3

「はああああああっ!」

 わき目もふらず、メアに向かって突撃するメイ。

 だが、メアは余裕を感じさせる笑みを浮かべ、杖を掲げた。


「真紅の豪炎ごうえんよ……龍となりて、敵を喰らえ」


 杖から灼熱の炎がほとばしり、メイを襲う。

「きゃあああああっ!?」

 突進中のメイに避ける余裕などなく、炎に真正面から突っ込む状態になってしまった。

(ダメ、避けられない――!)

 炎の中に突っ込み、その動きが止まった。

「メイちゃん!」

 裕司が叫ぶが、叫び声は空しく響いただけだった。

「さて、裕司くん。これで、貴方の悪夢は……なっ!?」

 メアが真後ろを向く。


 そこには、身を焼かれながらも、裕司に背中から突っ込むメイがいた。


「逃げて、裕司くん!」

 メイが勢いに任せ、裕司に体当たりする。

 その衝撃(実際は裕司が体をビクッと震わせただけだが)で、裕司の目が覚めた。

「はあっ、はあっ、はあ……。一体どうしたんだ、二人とも……」

 裕司の疑念は、その夜再び眠るまで止まらなかった。

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