8日目Extra

 裕司が目覚めた後にて。

 暗く暗く、どこともわからぬようなところに、メイとメアはいた。

「まったく……無理やり体の持ち主である裕司くんを目覚めさせるなんて、図々しいにも程があるわよ、メイ?」

 メアの挑発に、しかしメイは毅然と応じた。

「悪いけどね、姉さん。私は裕司くんと離れたくないの。いくら姉さんの頼みでも、それだけは聞き入れられない」

 毅然としたメイの返答。

 メアは挑発するような口ぶりで、メイに問いかける。

「へえ……裕司くんが好きなんだ?」

「そうよ!」

「うふふ。まだまだ若いのね、メイ」

「うっさいわよ、耳年増みみどしまの姉さん!」

「慌てちゃって」

「慌ててない!」

 ……。一応言っておくが、この二人、つい先ほどまで殺し合いをしていた。していたはずだ。

 この漫才にピリオドを打つ言葉を、しばらくしてメアは紡ぎ出した。


「けど、好きだからこそ離れるべきこともあるのよ、メイ。貴女の好きな、裕司くんのようにね」


 メイはその言葉に何も答えることが出来なかった。

 ただ、時間だけが過ぎ去っていった。

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