第2話 主夫な男子
学校に着くと校舎の中央から入学式と書かれた大きな垂れ幕が目に入る。
なんと言うか迫力があるな・・・。
そんな目立つ垂れ幕があると校門に立てかけてある入学式の文字が霞んでしまっている。
この学校は創設10年と新しく、まだ建てられてから浅いため、ちょっとしたミスなんだろうか。
校門を抜けると人が1人通れるくらいの一本道が目の前に広がり、そこを通ろうとすると横から1枚、また1枚とチラシを渡されている。新入生歓迎のパンフレットや部活の勧誘のチラシなどが飛び交う中、それらを無視して玄関に辿り着くとクラス表が貼られていたので確認する。
(えーっと、1組の15番か・・・)
この学校には特に顔見知りの人もいないのですぐさま靴を履き替え、体育館に向かう。
入学式は特に問題なく終わり、教室に入るとHRが始まった。
先生やクラスメイトは自己紹介をし、その後学級委員を決めると今日は終業となった。
今日は初日という事もあり、道草もすることなく家に帰り、いつものように家事をこなす。莉緒さんの帰宅時間が近づくとテーブルに晩御飯を並べ、玄関で待つ。
「ただいま~♪」
ガチャっという音と同時に上機嫌な莉緒さんの声が聞こえる。
「おかえりなさい、莉緒さん」
「もー!澄くんいつも言ってるけど、ここで待ってなくていいからね」
靴を脱いでスリッパを履くと「晩御飯~♪晩御飯はな〜にかな~♪」と鼻歌交じりにリビングへ向かう。
ここまでがいつものテンプレ。
今日の晩御飯はハンバーグにポテトサラダと新じゃがのオニオンスープ。
それを見た莉緒さんは速攻で着替え、一緒にいただきますをして食べ始める。
「ん~美味しい~♪」
日に日に上達していく澄の料理に舌鼓をうちながら食べる。
「焦らずに食べてくださいよ」
「うんうん、大丈夫だよー。私はそれより今日の入学式どうだったか聞きたいなー」
そういうと莉緒さんは箸を置き、視線を合わせてくる。
変わったことは特になかったので、そう伝えると「そうなんだ~。まあ初日だし仕方ないかな」と言って、またハンバーグをつつく。
ご飯が食べ終わると莉緒さんは何かやることがあると言って自室に戻った。
仕事終わりなのに疲れを感じさせないところは素直に尊敬できるが、無理をしてないか少し心配になる。
洗い物を終えるとソファーにぐったりともたれかかる。ふぅーと深いため息を吐くと何だか少し解放された気分になった。
「また明日も頑張らないとなぁ」
気合を入れ直し、また明日も生きなければ。
せっかく拾ってもらえたんだからその恩に報いないと...。
優しいお姉さんと男子高校生 おーがみ @ooGaMi_
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