第3話 怒った
唱が寝たあと私は授業に戻った。
クラスでは私のことではなくやっぱりあの子が唱に抱きついていた事が噂になっていた。
まぁ学校でそこそこモテる唱があの謎の女の子に抱きつかれていたからな。仕方ないか。
しかし、本当にあの子は誰なんだろう。
私は机の一点を見つめて考えていたが何も思い出せない。
その時頭によぎったのが。
"転校生"だった。
それだったら納得がいく……分けないだろ。
もし仮に転校生だったとしてなぜ初対面に抱きつく必要があるのだ。
全くもって理解できない。
でも今思えばあの子もまぁ可愛かったような。顔も整ってたし。
頭がパンクしそうだな。
唱に今日聞いてみた方がいいかな。
放課後
いつも通り私は唱の迎えを待っていた。
結構待ったのに全然来る気配がない。
あ、もしかして
そう思い私が唱の教室に行ってみたら。
「唱様〜」
唱に抱きつきながらそう言う。
甘ったるい声が教室に響く。
みんなはただただ見ているだけの状況だ。
ザワザワしているし。
唱のファンの子が嫌な目であの子をみている。
怖いすぎだろ。
女って怖い。
私も女だけど。
いや、私の話はどうでもいいから。
本当にやヤバいのは唱だった。
私は唱のところまで行き腕を掴んだ。
「唱、帰ろ。」
私は唱の"分かった"を言われると思いきや。
「なんですのあなた!」
まさかまさかのこの女の子からだった。
てか、私今怒られた。
「私と唱様の邪魔しないで下さる!?」
思ってたより口調がお嬢様なんだな。
まぁそれよりこの子うざいとかそういうのないけど、心配になってきた。
唱を私のものみたいな。頭のネジが緩んでるんじゃないかなって不安で不安で。
「次邪魔したら許しませんわよ!」
睨まらながらそう言われた。
うわー、こわい。
思ったより怖い。
どうやっても唱を離さないでいる気だな。
これは困った。
どうやったら剥せるか考えていると。
「離せ」
低いトーンの声が聞こえた。
あ、やっちゃったかな。
「なんか言いました唱様?」
その子はさっきの怖い表情などなくふわふわした笑顔で唱に尋ねるけど。
やめた方がいい。
早く離れた方がいい!
「離せっていってるんだよ。美菜にまで酷い言葉言って。キモいから離れろ。」
最後、最後の言葉!
取り消そ!
周りは放心状態。同じくこの子も放心状態。
私が1番やっちゃったよってなってるから。
唱よりなってるから。
それで唱は私の腕を掴み無言のままその場を立ち去った。
握る力が強い。痛い。
そんなに怒ってるのかこいつは。
何とかしないとな。
「唱、落ち着け。」
そう言ったら歩みを止め握る力も弱くなった。
唱は私の方を向いたけど。うつむいていた。
何をそんなに気にしているのか。
「ごめん、美菜。」
そんな悲しい声で言われたら誰でも許すだろ。というか、謝れる理由も見つからないけど。
どうしてこんなに優しいのか。
本当に変わらいな。
「私は何も傷ついていない。それにお前が謝る必要もない。」
そう言う顔を上げた。
少し泣きそうな顔だった。
馬鹿だな本当に。
「さぁ!帰るぞ!」
私はスタスタと歩いた。
***
「ただいま」
「お邪魔します」
私たちはリビングへと向かう。
今日から唱が泊まることをお母さんに説明しなきゃならないからか。
そして、リビングに行くと母が唱を見るなり飛びついてきた。
そう、母は唱が好きなのだ。
「唱くん!どーしたの今日は!?え、泊まるの!分かったわ!今日は料理にちからいれなくっちゃね!」
あたかも唱と母会話しているように見えるが全くもって違う。
母が勝手に話をすすめてるだけだ。
母は鼻歌を歌いながら料理を作り始めている。ウキウキだ。
まぁそんな母は置いといて私たちは上に行こうとするが。
「唱にぃ!」
そういったのは私の弟奏多(かなた)だった。
こいつも唱が大好き人間。
唱にぃ!っと言ったあとに飛びついてきた。
私はそれを見て悶える。
うわぁぁぁギャンかわーーーー!
皆さん忘れてはいけません。
私は腐女子です。
今はがんばって無表情を保っているけど無理だ。これ以上姉を困らせるな弟よ。
「奏多くん、さしぶりだね。」
そう優しく奏多に言う。
奏多はひまわりのような笑顔をむけ、唱のことをみつめた。
いや、可愛いな。
「唱にぃ!今日は泊まってくの?」
と元気に質問をする。
それであって嬉しそうだ。
「うん、何日か。」
短くそう言った。
奏多はそれ聞いてとっても嬉しかったのか母に報告しに行った。
あの二人は本当に唱が大好きだな。
まぁ一区切りついたあと私たちは上にいった。
まぁいつものように語りたいけど。
今はあの女の子の話だな。
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