【IF YOU SAY"LOVE IS FOREVER" I KNOW I'LL NEVER LET YOU GO】
後から考えると、意外なことだけどこの街が、彩の見ている夢の中の世界だと知っても、そう驚きはしなかった。まあ、ショック受けていても仕様がないしさ。だって、今までもこれからも、僕達がこの街で生活している以上、この街は僕達にとって現実以外の何物でもない。
いつもの配達帰り、自転車で坂を上っていると、パン屋の軒先、彩が手を振っている。
「すみません、おばさん。また彩が商売の邪魔しちゃって」
「まぁ頼哉ちゃんったら、すっかりお兄さん気取りだね」
膨れっ面の彩と、僕の顔を交互に見比べ、おばさん、噴き出している。
「あたしも、毎朝彩ちゃんが遊びに来てくれるのが楽しみなのよ」
おばさんはそう言って、店のシャッターを上げた。店内一杯に朝の光が差し込む。
「彩ちゃんのおかげで今日もこの街は輝いてるんだね」
おばさんの一言に、彩はうれしそうにうなずいた。
・・・彩、幸せになろうね。この街の住人としてきみは今、幸せをその手で作り出す権利を手にした。僕の魔法の力を超え、朝日の中、そうして輝く笑顔が証拠。
そんな思いを込めて、僕は言った。
「おはよう、彩」
彩は、恥ずかしそうにほほ笑んで、顔を上げた。
「おはよう、頼哉さん」
《fin》
AYA~色彩都市より、愛を込めて~ 琥珀 燦(こはく あき) @kohaku3753
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます