第14話 名前なんて慣れです、雰囲気です
彼女達の言い分はこうだった。
自分達は(不本意だけど)あんたの嫁になるために生まれてきたので、そもぞも自分自身という蓄積がゼロなのだと。
つまり、身体はアダルト心はロリティックなのだ。
「でも、名前がないと不便でしょ?」
おっとりした声で困ったわねぇという母の顔はどこか楽しげである。
「そりゃ、不便というか……って、お――お義母さん? なにニヤニヤしてるんですか?」
「ねぇ、二人の名前、私がつけてもいいかしら?」
「へ? そりゃ……」
ツンデレ美少女は一瞬、迷うような間を置いたが。
ジロリっと俺を睨んだ後、喜々として「ぜひ! お義母さんにつけてもらいたいです!」!と答えた。
よほど、俺につけられるかもしれないという選択肢を消したかったらしい。
「やったー」と黄色い声をあげて喜ぶ母をよそに、俺は妖精さんの方に声をかけた。
「君は、どうだ? うちの母さんにつけてもらってもいいか?」
すると、妖精は気恥ずかしそうに顔を逸らし。
「あの……ご迷惑でなければ、私はマスターにつけていただきたいのですが」
彼女は、聞き逃してしまいそうな声で告げる。
俺としては、このままこの子の名前も母に任せてしまおうと考えていたのだが。
「……そんな顔で言われちゃ、断れないな」
母のつまらなそうな「えー」という声を聴き流しつつ、何かいい名前を考えようと決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます